2021年2月号
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DX時代のビジネスモデル

リカーリングモデルの最重要課題・「収益化」から「資産化」へ

川上 昌直(兵庫県立大学 国際商経学部 教授)

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DX時代にあるべき企業のビジネスモデルを考察してきた本連載。最終回の今回は、リカーリングモデルを真に持続可能なビジネスにするために重要な観点・資産化(アセタイズ)について考える。事業の収益化には資産の消耗が不可避であり、枯渇を防ぐ手立てをとらなければならない。

リカーリングモデルは
資産を急激に「消耗」する

収益化(マネタイズ)は、資産を消耗する。それは収益化の本質を突く考えであり、どのような資産にとっても事実です。問題は、消耗することを知らずにマネタイズを繰り返してしまうことです。

資産には、株式や債券などの金融商品(カネ)はもちろん、土地建物といった実物資産(モノ)、企業に収益をもたらす有能な従業員(ヒト)、そして企業がもつ特許、商標、ブランド、さらにはノウハウ(情報)などが該当します。特にデジタル時代においては、データや顧客とのつながり(関係性)そのものが、資産となります。

企業は、収益を得るために資産を構築しますが、それは同時に収益化した時点で資産を消耗していることを意味するのです。そのため、繰り返し収益化すれば、資産はいつか枯渇してなくなります。マネタイズするなら、それなりの資産を蓄積しておかねばなりません。もし収益の根拠となる資産がわずかなら、マネタイズはすぐに行き詰まってしまいます。創業間もない企業が、蓄積なくマネタイズを急げば、すべてを無に帰すおそれがあります。どのような状態であれ、企業はマネタイズを急ぐ傾向にありますが、それにはどれくらいの資産が構築されているのかを関連付けて考える習慣が必要です。

この点を意識すれば、リカーリングモデルでは資産が繰り返し消耗されることは明白です。特に定額制のサブスクリプションに至っては、月々定期的にマネタイズするため、かなり速いスピードで資産の価値が消耗されていくのです。

リカーリングモデルはさまざまな資産を使って実現されますが、中でも最重要の資産が、ユーザーとの関係性、すなわち「つながり」です。

定額制のサブスクリプションは、毎月マネタイズすることで企業に収益が入ってくる仕組みです。それは収益を増やして、最終的に現預金を増やしますが、同時に毎月つながりを消耗していくことを意味します。繰り返し提供するサービスが同じであったり、あるいは標準的なものであれば、ユーザーは必要性を感じないばかりか、不信感を持つでしょう。サブスクがもたらす定期的な収益は、なんらかの資産を取り崩して実現されていることを忘れてはなりません。

収益化のための
資産化(アセタイズ)

では、マネタイズによる資産の枯渇を食い止めるにはどうすればよいでしょうか。結論から言えば、資産を増強すればよいのです。これを資産化、すなわち「アセタイズ(Assetize)」と呼びます。

家賃でマネタイズする貸しビル業は、ビルという資産の消費分をメンテナンスにより増強する行為、すなわち資産化(アセタイズ)が必要となります。月額で相談に乗るコンサルタントは、常に学び続けて、知識や情報をアップデートしなければなりません。アニメの制作会社もそうです。同じキャラクターを使い続けていては未来がありません。ディズニーは今でも積極的に新しい映画を公開し、キャラクターを増やし続けています。マーベル・スタジオや、ルーカスフィルムを買収しているのは、資産を増強するためです。

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