2021年1月号
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DX時代のビジネスモデル

これからの企業に求められる役割 ユーザーの不可能を可能にする

川上 昌直(兵庫県立大学 国際商経学部 教授)

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DX時代のビジネスにおいてはものづくり企業であれものうり企業であれ、ユーザーへの徹底した寄り添いが必須となる。ユーザーに寄り添って価値を提供し、収益を上げ続けるために必要な視点とは何か。今回は、ユーザーが求める「生活のアップデート」という切り口から考察する。

新たなビジネスがうまくいかない理由

ビジネスを新しく創ったり、変革するとき、企業はユーザーの価値提案を定義するところから始めるでしょう。しかし、「価値」をテーマに据えつつも、いつのまにか視点が「プロダクト」に偏ってしまっていないでしょうか。ユーザーの暮らしや生産性を考えるはずが、いつのまにかプロダクトの良し悪しが議論の中心になってしまう。筆者も実際に現場に立ち会った際に、何度となくそのような光景を目にしてきました。とくにものづくり企業やものうり企業は、プロダクトを成長させてきたので、そうした議論が心地よく感じてしまうのでしょう。しかし、それこそが、サービスを中心にビジネスをデザインするDX時代における、大きな障害となっているのです。

本質は生活のアップデート

ものづくり企業やものうり企業は、プロダクト提案で成長してきました。プロダクトさえよければ、ユーザーが評価し購入してくれます。そして原価に必要利益率を付して価格設定すれば、利益を得ることができます。それが通用する世界で成長してきたものづくり企業やものうり企業が、成功モデルとして語られてきました。

もちろん、企業は最終的にプロダクトを販売します。しかし、ユーザーへの価値提案がプロダクトではいけません。プロダクトはユーザーの目的ではないからです。

極論すれば、ユーザーはプロダクトなど欲しくはないのです。サブスク全盛を迎え、その傾向がさらに強くなっています。結果的に、プロダクトを薦めるほどに、ユーザーは興ざめしてしまい、企業との関係性が悪化することすらあるのです。

ユーザーの目的は、あくまでもプロダクトを使って得られる自らの生活のアップデートです。つながりを強化するために取り組むべきことは、ここです。いかにユーザーの生活をアップデートできるかを考えることなのです。

ユーザーがその企業と関わる前(t時点)と後(t+1時点)で、ユーザーの生活は変わっていないといけません(図1)。少なくとも、ユーザーとなった「人」は、あなたの企業に対して、関わる前と後で、生活や暮らしの何がどう違っているのか、その差分、いわば⊿(デルタ)を求めています。意識的であれ無意識的であれ、それを求めていることに違いありません。

図1 企業はユーザーの生活をアップデートするために

出典:筆者作成

 

社内で何らかの問題を抱え、サービスを採用して解決しようと思っている人(事業者)も、あるいは、たんに空腹を満たそうと食品メーカーのつくる食べ物を買おうとしている人(消費者)も⊿(デルタ)を求めています。そうした「人」が「ユーザー」になり、企業はユーザーの生活をよりよくすることに尽力すれば、社会をよくしていくことにつながります。その継続が、世界を変えていくのです。

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