2020年11月号
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政府DX戦略は、新ビジネスの宝庫

SIBなど新しい金融システムで実現する 人・企業・投資家の育成

黒越 誠治(デジサーチアンドアドバタイジング代表取締役)

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内閣府の経済財政諮問会議では、2020年3月に有識者懇談会として「選択する未来2.0」を設置。数十年先の日本未来を見据えて、少子化・人口減の克服と生産性の飛躍的向上、地域の再生を実現するための検討を開始した。その議論の内容は、「骨太の方針2020」にも反映されている。

日本初のソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)の設計などで知られるデジサーチアンドアドバタイジング代表の黒越誠治氏は、4月に開催されたこの懇談会で、活気ある社会を作るための新しい金融のアイデアについてプレゼンした。その内容、背景について話を聞いた。

やる気がある人の教育費を
「出資」で賄う

デジサーチアンドアドバタイジングは、スタートアップへの投資やクラウドファンディング、学生起業支援などを手掛ける企業で、2000年に黒越氏が立ち上げた。黒越氏自身も、個人が適格機関投資家だ。デジサーチは、既存のフレームとは少し違う形で、事業に必要な資金を調達するしくみをつくっている。例えば、2017年に八王子市が「成果報酬型官民連携モデル事業」として、大腸がん検診における受診率・精密検査受診率向上に取り組んだ際の、SIB設計・出資者として知られている。

図 SIBスキーム(八王子市)

2017年に八王子市で導入された成果連動型の大腸がん検診受診率向上事業のスキーム。大腸がん検診を受診するよう対象者に促し、成果に応じて支払いがなされている

出典:リリースをもとに編集部で作成

 

「『選択する未来2.0』では、思い切った決断を下すことを支える金融のしくみが必要、という観点からお話しさせていただきました」と黒越氏は話す。

懇談会では、経済活動から生まれる付加価値や、その源泉となる創造力を伸ばすことが、今後の日本の経済成長や社会の維持に不可欠だと指摘。「人」「企業」「投資家」のそれぞれの成長を金融のしくみで支えることで、これを実現することを提案した。

例えば、「人」の成長支援。「将来のために人に投資することが大切」といっても、現在の金融のしくみでは個人には直接出資できない。人権や職業選択の自由の問題があるためだ。一方で、学費をねん出するために、給付型や返済型の奨学金を利用する学生は増えている。給付型奨学金は条件が厳しく利用できる人は限られる。銀行からの融資に当たる返済型奨学金は、借金に縛られてしまい、自分の可能性を試す冒険がしにくくなる。

「融資の特徴は、リスクに対して保守的になりがちなこと。人に出資ができるしくみがあれば、自分の判断で思い切った教育投資ができるようになります」。

金融のしくみでこれを解決する、黒越氏が考えたスキームはこうだ。進学のための資金を必要とする人をまとめて匿名組合の出資対象にし、併せて「収入1000万円以上を達成した場合のみ、超えた分の一定のパーセンテージを支払う」といったセーフティネットを設ける。勉強したいと希望する人々がチャンスを得られ、出資した人のうち数人が高給取りになれば、資金を出した人もリターンがある。

実際のところ、既存の法体系には当てはまらないこのしくみは、現状では実現はかなり難しい。しかしデジサーチでは、現行法の枠内で実施可能な類似のモデル事業として、「全国シングルマザー起業支援プログラム」を2019年に立ち上げた。これもSIBで、静岡市と日本シングルマザー支援協会、社会変革推進財団との連携事業だ。

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