2020年11月号
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DX時代のビジネスモデル

継続収益をどう生み出す? デジタル時代のリカーリングモデル

川上 昌直(兵庫県立大学 国際商経学部 教授)

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近年注目を浴びているサブスクリプション(サブスク)は、ユーザーがメリットを感じる、理想的なマネタイズの要素を兼ね揃えている。今回は、サブスクに注目しながらデジタル時代にあるべき継続収益(リカーリング・レベニュー)モデルのあり方について考察を加える。

リカーリングモデルとしての
サブスク

サブスクリプションは「継続課金」や「定額課金」と認識されていますが、企業が自動的に収益を継続させるための仕組みでは、決してありません。そもそも、「予約購入」や「継続購入」を意味する動詞“subscribe”の名詞形なので、その主語はユーザーです。取引が継続するかどうかは、ユーザーの意思に委ねられているのです。

ご存知のように、サブスクは古くは雑誌や新聞など「定期購読」という形で存在していました。これを便宜上、「旧型サブスク」と呼びます。他方で、ここ数年のうちに注目を浴び、飛躍的に成長を遂げているのは「新型サブスク」です。両者は、「定期的にユーザーが使い続ける」点は同じですが、大きな違いは新型の方がデジタルを掛け合わせて成果を収めていることにあります。

音楽や動画配信などデジタル分野で拡大した新型サブスクは、解約自由で定額使い放題という特徴があります。それはユーザーに対して、「気軽さ」と「お得感」を訴えかけました。このことは、「利用継続の拘束力」と企業の「利益回収の時間」という2軸からなるリカーリングマップ(図)を見ると一目瞭然です。

図 各リカーリングモデルの特徴

出典:筆者作成

 

利用継続の拘束力とは、継続に関してユーザーが感じる契約などの法的なハードルや、解約の際の心理的なハードルを意味します。これが小さければ、簡単にやめられるため「気軽」と認識されます。他方で、利益回収の時間は、そのままユーザーの支払い負担に関する感覚に直結します。もし企業が長期にわたる利益回収を選択すれば、ユーザーにとっては1回あたりの支払い負担が軽減されるので「お得感」が醸成されます。

なおマップを斜め上に貫く紫色の実線は、ユーザーが興味を持ち、なおかつ企業が利益を生むことのできる、ビジネスの境界線を示しています。旧来からあるリカーリングモデルは、企業にもユーザーにもメリットがあり、過度にどちらかによりすぎているわけではないために、存在し続けているのです。この線より上の領域は企業にメリットのある企業有利になり、下の領域はユーザーにメリットがあるユーザー有利になります。境界線を外れれば、どちらかに有利な状況になり、そのうち存在できなくなります。

新型サブスクの特徴を
浮き彫りにする

さて、境界線上にならぶ、旧来のリカーリングモデルである、リピーター、リース、レーザーブレイドには「購入後も支払いを続ける」という共通点があります。リピーターは売り切りの連続なので、企業は単品販売で利益を回収し、ユーザーにも何の拘束もないという関係が成立するので理想的です。これに対しリースとレーザーブレイドは、時間を掛けて利益を回収することが前提なので、特にサブスクと混同されやすいです。そこで、これら2つと比較して、サブスクがいかにユーザー有利であるのかを見ていきましょう。

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