片山さつき氏 今こそスーパーシティへの変容のとき

今年5月27日に成立した「改正国家戦略特別区域法」(スーパーシティ法)。AIやビッグデータなどを駆使した最先端技術を都市に実装することで、地域住民の課題を包括的に解決することを目指す。発案者である片山さつき氏自らが、スーパーシティ構想の全貌とねらいを語る。

片山 さつき
自由民主党 総務会長代理、参議院議員、前国務大臣(規制改革・地方創生・女性活躍)

地方創生の切り札
スーパーシティの実現へ

スーパーシティの実現を推進する「スーパーシティ法」(改正国家戦略特別区域法)が今年5月27日に成立した。スーパーシティとは、行政手続き、物流、医療など少なくとも5つ以上の領域で、生活全般にわたり最先端の技術を活用した未来都市のこと。都市のデジタル化や先端技術の導入に関しては、これまでもスマートシティや近未来技術実証特区などの取り組みがあるが、エネルギー・交通など個別の分野や技術の実証に留まるものだった。

「スーパーシティはそれらとは次元が異なり、まちを"まるごと未来都市"にするものです。そして、最先端技術の"実証"ではなく、暮らしに"実装"し、住民目線で未来社会を前倒しで実現することが本構想の目指すところです」とスーパーシティ構想の発案者、片山さつき氏は話す。

世界に目を転じると、AIやビッグデータを活用し、社会のあり方を根本から変えるような都市設計の動きが進展している。白地から未来都市を作り上げるグリーンフィールド型には、カナダのトロントや中国の雄安新区などの事例があり、既存の都市を造り変えるブラウンフィールド型には、ドバイやシンガポールの取り組みが挙げられる。世界が先行している部分もあるが、生活全般にわたり暮らしに実装し、住民目線で未来社会を前倒しで実現している事例はないと片山氏は指摘する。

「わが国には必要な要素技術が揃っていますが、実践する場がありませんでした。構想実現の一番のハードルは規制です。日本が大胆な規制緩和を進めれば、世界に先行してスーパーシティを実現できるはずです」

構想実現のキモは
データ連携基盤とAPI

構想の領域は幅広く、決済の完全キャッシュレス化、行政手続のワンスオンリー化、遠隔教育や遠隔医療、自動走行の域内フル活用など生活全般をカバーする。そのため、国家戦略特区を活用し、複数分野の規制改革を同時・一体的、かつ迅速に実現することで、実現に向けた規制改革を大胆に進めていく。まず、公募で選定されたエリアの事業計画案を基本構想として認定し、実現に必要な複数の特例措置を各府省一体で検討するという順序を踏む。住民の同意を得たうえで国に申請し、首相がトップダウンで関係省庁に要請することで手続きを迅速化する。

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