中国の2000病院で稼働 デンマーク企業の消毒ロボットが躍進
新型コロナウイルス感染拡大のなか、過去15年でロボット産業が急成長した北欧デンマークの企業が医療現場に貢献している。発端となった中国・武漢の病院で紫外線ランプ消毒ロボットが導入され、複数の病院で病室などを効率よく消毒している。
進化するUVCランプ
肌のトラブルを引き起こす紫外線A波とB波は日焼け止めクリームでおなじみだ。最も波長が短いもう1つの紫外線C波(UVC)は、オゾン層があるため、通常、地上には届かない。C波は殺菌効果が99%以上と高く、人工的につくったC波放電ランプはこれまで医療、化粧品、食品など限られた分野で使われてきた。
保管ケース内に取り付けて容器や器具の表面を消毒したり、天井や壁に取り付けて空気を、また飲料水の中に入れて液体を消毒したりする。最近は、家庭用として携帯電話、眼鏡、マスクなどの小物を消毒する小型ボックスタイプやスティックタイプが市場に出回っている。
新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行により、このUVCランプを人がたくさん集まる場所で使おうという試みが行われている。たとえば米国ニューヨーク市では、5月からUVCランプで地下鉄やバスの車内を消毒する実験が始まった。この実験は運行が止まっている夜間に行う。というのもUVCは角膜炎や皮膚がんを引き起こす可能性があり、無人の場所でのみ使用できるからだ注)。
ニューヨークの例ではUVCランプを車内に固定して使うが、デンマーク南部のオーデンセに拠点を構えるUVDロボッツ(UVD Robots)は、大人と同じくらいの背丈で、アプリを使って遠隔操作でき最高時速5.4キロで自律走行するタイプ「UVDロボット」を開発した。2月下旬、病院で導入するためにデンマークから中国へ2000台が空輸された。
中国の2000の病院で稼働
「UVDロボット」は、同社の親会社であるブルー・オーシャン・ロボティクス(Blue Ocean Robotics)と南デンマーク大学病院がほかの病院の協力を得て2014年から開発に着手した。開発の目的は院内感染全般を防ぐことだった。
全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。
-
記事本文残り63%
月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!
初月無料トライアル!
- 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
- バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
- フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待
※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。