すかいらーくvsコロワイド コロナ後に向けた外食大手の戦略

コロナ禍によって深甚な影響を受けた外食産業は今、ウィズコロナ、ポストコロナの時代へ向けて体制立て直しを推進している。和洋中の豊富なブランドを持つすかいらーく、焼肉店・回転寿司・居酒屋などを幅広く手がけるコロワイドの今後の戦略を見る。

コロナ後の外食の未来像を描く、２つの外食企業

コロナ禍は、特に飲食業界に深甚な影響をもたらした。テイクアウトやデリバリーの定着など、ライフスタイルも外食産業の構造も大きく変わった。外食産業は、コロナ禍以前から人口減少や少子高齢化の進行、経済の低成長といった事業環境の変化に対応してきたが、コロナ禍で変化はますます加速し、現下の原材料高騰や円安も追い打ちをかける。和洋中をはじめ豊富なブランドを持つすかいらーくホールディングス、居酒屋や回転寿司、焼肉店などを幅広く展開するコロワイド。この大手２社は、コロナ禍を経てどのような戦略を練っているのだろうか。

すかいらーくは、「ガスト」、「バーミヤン」などのレストランを内外で約3100店舗展開し、国内では年間３億人が利用する。現在、DX推進や人材育成、作業システム改革を基軸とする「中長期成長ロードマップ」の第２フェーズにあり、ライフスタイルの変化に対応するメニュー開発やデリバリー拡大、店舗開発、ブランドポートフォリオ見直しの段階から、国内出店再開、通販・外販、本格的な海外多店舗化を目指す段階へ進みつつある。

DXについては、2022年１月に「DX推進プロジェクト」を発足し、全部署に専任担当を配置した。中食や内食も視野に入れた新サービスの開発や、国内10ヵ所のセントラルキッチン作業のIT化を進めることが狙いだ。店内の配膳ロボット導入は、2022年10月末までに2654台となり、歩行数を42％、片づけ完了時間を35％削減するなど大きな成果をあげている。中食・内食については、同一エリア内で配達員を共有する「共同デリバリー」の導入などによって、2021年のデリバリー売上を前年比23.1％増とした。

一方、コロワイドは、「牛角」などを展開するレインズインターナショナル、「かっぱ寿司」を展開するカッパ・クリエイトなどをグループに抱える。居酒屋を祖業として、各種レストラン業態へと事業分野を拡大し、積極的なM＆A、多業態・多店舗戦略によって成長してきた。

コロナ禍後の対応については「ウィズコロナ戦略」として、店舗戦略の見直しやニーズの変化への対応を急ぐ。店舗戦略では、都心・ターミナル駅前から生活立地での出店に舵を切り、テイクアウト/デリバリー対応も強化している。嗜好や人流の変化に対応してアルコール業態からレストラン業態への切り替えも進め、2023年3月期はレストラン業態の新規出店を20店とする。もちろん、DX推進にも余念がなく、2022年3月期のフロアサービスロボット導入店は前期比10倍の201店、スマホオーダー店は14倍の363店に拡大した。2022年10月には「MD研究所」も開設して、グループのマーチャンダイジング、研究開発を一元化し、メニュー開発や調達合理化などを目指す。

あるアンケートでは、「コロナ収束後に最もやりたいこと」として「外食」が第１位になったという。家族や仲間と過ごす、おいしく楽しい時間を取り戻したい消費者の大きな期待を受けて、外食産業は今、経営体力と知見のすべてを注いで、コロナ禍後の新しい未来づくりに向けて邁進している。

両社の概要