2020年5月号
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DXで見る新事業 100選

DXは「自社を知る」ことから始まる 新しい診断ツールを開発

松岡 剛志(日本CTO協会 代表理事)

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世界的に見ると事業のデジタル化が遅れていると言われる日本企業。企業ごとに異なる目標を設定する際に役立つ診断ツールを、日本CTO協会が公表した。現場の事情に即した個別具体的なアセスメントは、DXに成功する企業になるための第一歩だ。

松岡 剛志 日本CTO協会 代表理事

一般社団法人日本CTO協会は、企業の最高技術責任者(CTO)の交流と、その知識の社会還元を目指して2019年9月に設立された団体だ。企業経営陣の中でも新しい職種であるCTOのコミュニティ運営やイベント開催、国内外の調査・レポート活動などを手掛けている。同協会では、2019年12月に、国内企業のデジタル技術利用と、それによる事業の創出・拡大の推進に向けた基準「DX Criteria ver.201912(以下、DXクライテリア)」を公開した。これは、「DXを推進できている企業が取組んでいるべきこと」をリストアップしたものだ。代表理事の松岡剛志氏に、日本企業のDXについて話を聞いた。

DXの2つの意味とは

DXクライテリアは、各企業が自社の状況を把握するために使用する自己診断ツールだ。その特長は、「DX」に2つの意味を持たせているところにある。DXは、企業のデジタル化全般を示す「デジタルトランスフォーメーション」のほか、エンジニアの働きやすさを示す「ディベロッパーエクスペリエンス(開発者体験)」の略称としても用いられる。

一般の会社員や経営者としては「デジタルトランスフォーメーション」の方になじみがあるが、「CTOのコミュニティとしては、後者の意味の方が強いので、CTO以外の経営幹部たちと話すとかみ合わないこともありました」と松岡氏は振り返る。

しかし、2つ目のDXはとても重要だ。開発者が働きやすく、高速で開発できる組織やシステムがあれば、企業のデジタル化は進んでいく。いろいろな要因が重なって働きづらく、良いエンジニアが定着しない組織では、デジタル化を進めることはできない。そこで、2つのDXを一体的に進めるための統一された基準を作成したのがDXクライテリアといえる。開発者や技術者側の意見が経営層に届きにくいという現状を踏まえて、現場で使える具体的なチェックリストとして提示した。

このクライテリアのベースは、CTO経験者がコンサルティングを提供する株式会社レクター(東京都渋谷区)が作成したもの。松岡氏はレクターの代表取締役も務めている。協会の設立に合わせて原案を寄贈し、日本CTO協会の理事メンバーを中心とした様々なCTOたちの知見を集約。一般に公開して誰でも使えるようにした。「デジタルによる日本企業のレベルアップを図りたいと考えていたけれど、1企業のサービスとして提供していても限界があると感じていました」と、松岡氏は説明する。

DXクライテリアの目的は、事業上の仮説検証を、ITにより高速で回せる能力を企業が得ること。変化が激しい時代にビジネスで勝ち残っていくためには不可欠な能力で、その実現にはデジタル化が欠かせない。クライテリアを作る際には、この目的のために組織には何が求められるかを分析した。

例えば、高速な開発を実現している企業には、社外から見ると理解しづらい習慣や投資があったりする。そのような、効果がすぐに分かりづらい投資をタイムリーに行える環境は重要だ。IT技術の進化は速いため、ある時点では正しいとされた行為や習慣が、あっという間に時代遅れ、あるいは「危険」とみなされるようになる例もある。組織として、古くなった習慣は捨てられるような「アンラーニング」も大切だ。

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