新時代・令和をひらく研究の構想

大学の研究が社会と繋がり、イノベーションを生み出すためには、実務と論理の融合を図る「実務家教員」の養成が必要であり、また、地方自治体の役割も重要になる。新たな時代を迎え、これから求められる構想について、当学校法人の東英弥理事長が提案する。

東 英弥(学校法人先端教育機構 事業構想大学院大学 理事長)

社会とともにある
大学・研究の価値

令和の時代の始まりに考えたいことは、高等教育の理想の姿です。複雑化する社会において、高等教育機関である大学の役割は益々増大しています。人生100年時代を迎え、大学教育の生涯化(リカレント教育)が求められる中、大学と社会の乖離が指摘され、大学改革の必要性が唱えられ、その対策が重視されるとともに、具体的な対応策が見られます。

しかしながら、実際は大学と社会は、常に共にあり、社会科学系の学問は実務界の論理と結びつく形で実体経済を動かし、科学技術・理工系の学問は基礎研究とともにイノベーションを生み出し、産業界を大きく動かしてきました。実務と論理の融合が社会を形成してきたのです。

この現実を踏まえた上で、乖離が懸念されるのであれば、それは研究に取り組む先生方が社会との距離を有する点を解決しなければならないと考えます。歴史的にも、世界で活躍する研究者を輩出してきた実績は、日本の文部科学政策による成果であり、アカデミズムの素晴らしさの証です。この流れが新時代に加速し、花開くための策が、研究者が社会と繋がるためのシステム作りであるととらえています。

学校法人先端教育機構は、2012年に事業構想大学院大学、2017年に社会情報大学院大学を開学し、知の実践教育・研究で社会の一翼を担うことを理念に、魅力あふれる人材の育成に取り組んでいます。

2018年より開始の「実務家教員養成課程」では、特定分野で高い実績を有する専門家が、大学・大学院および研究機関での指導法を習得し、実務経験を踏まえて活躍できる新しい教員を目指しています。実務経験と教育指導力、研究能力の3つの力で社会に貢献できる教員です。

多彩な業種業態、職種において身につけた経験、スキル、知識を、次世代のための教育に活かすことができる計画ですが、ここに集う高度専門人材の方々は、将来の産業や社会を考える人物でなければなりません。

現在2期目に入り、世の中にはこれほどの教養と専門知識を備えた人物が多数存在することを喜ばしい驚きで受け止め、再認識しました。私どもの取り組みが、必ずや、新たな時代をきりひらく原動力になると確信するところです。

自らの理想を描き実践する人材が、地域と社会を強く魅力的なものにしていく

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