インターネットで後継ぎ探し 成約率を高める独自の強み
零細・赤字・債務超過であっても、その事業を買いたい会社や人が見つかるチャンスがある。そうした可能性を広げているのが、アンドビズの「Batonz」だ。中小企業の買主・売主をつなぐそのサービスは、地域の産業振興や移住施策とも結び付きながら、全国に広がり始めている。
2018年4月に日本M&Aセンターより分社化し、設立されたアンドビズ。同社が運営するオンライン事業承継マッチングサービス「Batonz(バトンズ)」は、この1年で大きく伸び、利用ユーザーが2万2000人を突破した。
Batonzは、事業を譲渡したい中小企業の経営者が、ベストな買主を探し、後継ぎを見つけるためのサービスだ。アンドビズの大山敬義社長は、「事業承継と言うと難しく思われがちですが、Batonzは世代交代を支援する仕組みであり、前向きな経営のバトンタッチを実現するサービスです」と語る。
専門家とのネットワークが強み
Batonzの前身サービスは、日本M&Aセンターが2014年4月にスタートした「&Biz(アンドビズ)」。日本M&Aセンターの常務でもある大山社長は、同事業に立ち上げから携わってきた。
「日本M&Aセンターは、公認会計士や税理士が中心となって設立した企業です。長年、中小企業のM&Aの仲介を手掛けていますが、事業の拡大とともに中堅規模の案件が中心になっていきました。それは、中小企業のM&Aは買主を見つけるのが大変で、経済的に見合わないからです。しかし、その課題を解決するヒントが米国にありました」
米国では、パパママストアなどの小規模事業者の売買がインターネット上で行われていた。
「6年程前、米国を視察してオンラインM&Aサービスの企業を訪問したのですが、当時で3万件以上の売り案件が載っていて、買い手をネットで公募していました。そして、そのサービスが機能している背景には、M&Aの手続きを支援するビジネスブローカーと呼ばれる専門家の存在がありました。ビジネスブローカーの多くは弁護士です」
同様のサービスを日本で実現するには、ビジネスブローカーに相当するM&A専門家を充実させる必要がある。大山社長は、人材面でのインフラ整備に力を注ぐことから始めた。その活動は、日本M&Aセンターが運営に携わる「M&Aシニアエキスパート」(一般社団法人金融財政事情研究会認定)の資格創設につながっている。
M&Aシニアエキスパートの資格保持者は、主に会計事務所、地域金融機関の現場担当者などだ。日本M&Aセンターはそうした専門家とのネットワークを築き、支援を得て「&Biz」を運営してきた。
また、M&Aにおいては秘密保持も重要になる。会社が売りに出されていることが外部に伝わると、従業員や取引先にネガティブな影響を与えかねない。そのため、「&Biz」は当初、専門家だけが利用するクローズドなサービスとして運営された。
大山社長は実験を繰り返しながら「&Biz」の改良を重ね、サービスの基盤が出来上がった段階で一般向けに提供。数々の蓄積のうえに、2018年10月にリニューアルしてスタートしたのがBatonzだ。2018年の平均マッチング数は前年比7倍に上昇している。
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