2019年3月号

シティプロモーション研究会

奈良県生駒市×花王 まちの当事者たちがつながり、夢を共有

月刊事業構想 編集部

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奈良県生駒市は、住民のまちの当事者としての意識が高いことが特徴の一つだ。より多くの住民に参加してもらう試みとして、市は花王 生活者研究センターとの共催で、住民が夢や想いを共有し、地域とのつながりを新たにつくるワークショップを開催した。

ワークショップでは、「これまでの私の暮らし」を振り返った

奈良県生駒市は、「暮らす人の輝きがまちの輝きにつながる」をコンセプトにシティプロモーションに取り組み、個人の成長や自己実現を応援している。その一環として、2018年10月23日に「Styling Talk ~生駒を楽しむオトナ女子会~」を開催した。

多様なスキルや想いをもつ女性たちが出会い、互いに刺激し合うことで、夢が一歩前進したり、地域魅力の創出につながったりする場を生み出すことを目的とした交流促進イベントで、同年3月に実施した「Styling Party ~生駒を楽しむオトナ女子会~」に続く2回目。1回目の「オトナ女子会」は、終了後に参加者同士がいっしょにイベントを開催したり、初めて地域のマルシェに出店したりと新しい動きが生まれ、生駒市がめざす「魅力創造の担い手育成」への手ごたえが感じられた。

新しいつながりや出会いを求める
16人の女性が参加

今回の「Styling Talk ~生駒を楽しむオトナ女子会~」は、花王 生活者研究センターとの共同開催。トークセッション、ワークショップ、交流会という3つのプログラムで行われた。

参加者は、抽選で選ばれた20~40代の女性16人。「生駒でつながりをつくりたい」(5人)、「出会いなど、新しい刺激がほしい」(4人)だった。生駒で新たな活動をしたいと思っている人が多く集まったことがわかる。

「自分の未来の姿」をイメージして
明日から具体的な一歩を踏み出す

トークセッションでは、すでに生駒で自分らしい暮らしや働き方を実現している3人の女性が登壇。親子教室「KOJIKA no Ouchi」を主宰する岩城はるみ氏がコーディネーターとなり、「"似合う"暮らしを手に入れよう」というテーマで、日常を楽しむコツをディスカッションした。登壇者でアクセサリー作家の滝曲さんは「仕事をやめた時はどん底だと思ったけど、だからこそ新しく挑戦できた。そこからはやりたいことしか選択していない」と話すなど、経験に裏打ちされた前向きな言葉が参加者の共感を呼び、会場の雰囲気は一気に上向きになった。

ワークショップは、花王 生活者研究センターが提供。同社が慶応義塾大学と開発したカード、パターン・ランゲージ「日々の世界のつくりかた」を用いた。これは、ライフステージの変化によって、自分の夢を諦めてしまいがちな女性を支援するために作られたもので、日常のコツや工夫がわかりやすい34の言葉にまとめられている。

参加者はカードをツールに、自分の暮らしを振り返り、日々の充実度をグラフで表現。気持ちが動く心のツボ(=大切にしたい価値観)を可視化していくことで心地よいあり方を知り、なりたい自分像を探った。そして、「自分は何をしたいのか」「どう暮らしたいのか」「そのために明日から何ができるのか」など、具体的な将来を描いた。

ワークショップの最後には、3年後の理想の暮らしと、それを実現するために明日から実施しようと思う具体的なアクションと共に、一人ひとり宣言した。すでに目標を持つ参加者は、活動の幅を広げたり、発展させたりするために、「人と出会う機会をつくるためワークショップを計画する」や「アイデアの提案をしてみる」と話した。

参加者の一人、手芸作家の山添さんは、「古民家を買い取り、手芸カフェをしたい」と夢を語り、会場は声援と拍手に包まれた。周囲の前向きで積極的な雰囲気に後押しされて全員が3年後の自分を前向きに想像し、具体的な一歩を踏み出そうとする姿勢が見られた。

ワークショップの最後には、3年後の理想の暮らしと、それを実現するために明日から実施しようと思う具体的なアクションと共に、一人ひとり宣言をした

参加者の満足度100パーセント
つながることで夢の実現に近づく

ワークショップ実施後のアンケートによると、参加者の満足度は100%(「満足88%」と「ほぼ満足13%」)を合わせて100%。「自分もなにかしてみたいと思ったか」という設問には86%の人が「はい」と回答し、「わたしもできる範囲からチャレンジしたい」、「いろんな人と話すことが気付きや刺激となり、自分の世界を広げていけそう」という感想が寄せられた。また、「参加者同士で今後も継続的に連絡を取ろうと思うか」という設問には93%の人が「はい」を選択。この日だけではなく、継続するつながりができたことがわかった。

参加者同士が夢や想いを共有することで共感者が現れ、それぞれの行動が加速。さらに、地域とつながりができたことで、「自分たちで心地よい暮らしをつくる」という、まちの当事者としての意識が生まれた。

1回目の「オトナ女子会」と比較すると、官民連携によって事業内容に深みが増し、参加者のモチベーションが高まった。これまで各地でワークショップを開催してきた花王の担当者は、「生駒市の女性は未来の暮らしをすらすらと描くことができる人が多くて驚いた。何かやってみようという人が多い証しだと思う」と述べた。

また、一般的に自治体がこうしたイベントを実施する場合、毎回同じようなメンバーしか集まらないという課題が見受けられるが、今回のイベントではこれから活躍するであろう潜在層の方々が交流していて、市民を主役にするイベントになったと考えられる。同社にとっても、企業のターゲット層である子育て世代の女性と直接関わり、生活に関するニーズを把握する有益な機会となった。生駒市と花王 生活者研究センターで行ったイベント後の反省会では、早速新しい連携アイデアについて意見交換するなど、今後に向けてすでに動き出している。

本ワークショップは、事業構想大学院大学が主催する「シティープロモーション研究会」の活動の一環として行われた。2018年度、生駒市、花王 生活者研究センターのほか、青森県むつ市、長崎県大村市、ドコモ、モリサワが参画。研究成果を、市長や自治体職員、企業、本学教職員が集い、2/12に東京で開催するシンポジウムにて発表する。(詳細・申込:https://www.mpd.ac.jp/event/20190212/

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