2018年12月号
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フィンテックの興亡

地域通貨20年の盛衰 再活性化のために何が必要か

泉 留維(専修大学経済学部 教授)

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それぞれの地域課題を解決すべく、日本各地で地域通貨の導入が始まって20年が経過した。紙、電子マネー、ブロックチェーンと、手法は多様化しているが、地域に根付くのは簡単ではない。長期にわたって使われ、地域に貢献する地域通貨を産むために、より良いデザインの模索が続く。

泉 留維(専修大学経済学部 教授)

地域通貨は自治体にとって身近なフィンテックと言える。ブロックチェーンを用いた仮想通貨を利用した地域通貨の試みや、ICOによる地域の資金調達など、話題が多い分野でもある。

地域通貨が日本で本格的に導入されてから、20年が経過している。地域通貨について研究し、稼働している地域通貨数を定期的に調査してきた、専修大学経済学部教授の泉留維氏が、地域通貨の過去と未来を語った。

地域通貨ブームは2000年代前半

泉氏と、明治大学情報コミュニケーション学部准教授の中里裕美氏が実施している「地域通貨の稼働状況調査」によると、2017年12月に国内で活動していた地域通貨の数は186だった。2016年に比べ20以上も減少している。ただし、減少傾向は2005年12月の調査から一貫して続いているものだという。2017年に立ち上げられた地域通貨は7。新しい傾向として、ブロックチェーンなどのしくみを用いて、スマートフォンで電子的にやり取りできるものが出現している。

日本の地域通貨のブームは、2000年代初頭に生じた。地域通貨の発行には、地域内での助け合いや交流を促進するという目的がある。初期の地域通貨はそれが顕著で、必ずしも日本円とは連動していなかった。例えば、ボランティア活動をした時間に応じた地域通貨が発行され、手伝いが必要な時にそれを使ってボランティアを呼べる、タイムダラー型と呼ばれる地域通貨だ。過疎地における相互扶助を目指して、1995年に愛媛県関前村(現・今治市)に日本で初めて導入されたタイムダラー「だんだん」の活動は、2005年まで続いた。

並行して、2002年度頃から、地域通貨活動への行政の参加が始まった。中小企業庁、経済産業省が、地域活性化に地域通貨を使えないか、予算を付けてモデル事業による検証を開始したのだ。これにより、地元の商工会議所や、商店街振興組合なども関心を見せ始める。換金性のある地域通貨が出現し、大幅に増加したのはこの時期からだ。

年間50前後もの地域通貨が立ち上がる時期が、2001年から2005年までは続いた。しかし、ブームは2005年で終わり、以降、地域で稼働する通貨の数は少しずつ減っている。運用を中止する地域通貨が増え、新規に立ち上がる地域通貨は減っているのだ。

「地域通貨は、立ち上げから2年以内に40%が活動を中止しています。一方、10年以上の継続率は20%です」と泉氏は説明する。地域通貨が利用されなくなる原因は個々の通貨ごとに異なるが、「最も大きいのは、日本円と比較した使いにくさでしょう」(泉氏)。

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