指紋・顔で決済、生体認証で「現金のない世界」へ

顔パスで買い物ができたり、指1つで支払いが完了したり――。独自の生体認証技術を開発したLiquidは、画像解析とビッグデータ解析の強みを活かし、新規事業にも進出。久田社長は「5年以内に1億人のユーザー数」を目標に掲げるが、それは控えめな数字だという。

Liquidは、世界で初めて生体認証のみでの本人認証・決済サービスの商用化に成功した

久田 康弘(Liquid 代表取締役社長)

現金決済が根強く、キャッシュレス後進国とされる日本。しかし、日本でもスマホ決済が浸透しつつあり、店舗の無人化が試みられるなど、キャッシュレス化に向けた取り組みは増えている。

そうした中で、カギを握るのが生体認証技術だ。財布やスマホが不要で、指や顔をかざすだけで支払いができるようになれば、買い物の利便性は高まり、キャッシュレス化への大きな後押しになる。

2013年12月に創業したLiquid(リキッド)は、世界で初めて生体認証のみでの本人認証・決済サービスの商用化に成功した企業だ。Liquidが提供するクラウド型生体認証サービス『PASS』は、指や顔から得られる生体情報を専用のセンサーやカメラで取得し、本人であることを証明する。データは暗号化されクラウドサーバーに保存されるため、安全にどこでも認証が可能だ。

『PASS』を導入すれば、顔や指紋で支払いができたり、イベントやテーマパークの入場時に指や顔で本人確認を行うことができる。

ハウステンボスは、2015年10月から年間会員向けサービスとして『PASS』を活用。エントランスで指紋を登録して現金をチャージすれば、園内で手ぶらで買い物や飲食を楽しめる。

Liquidは自社技術の用途を広げており、キーレスの指紋認証入退出管理システム『LIQUID Key』も開発。三菱地所は2018年2月、本社に『PASS』と『LIQUID Key』を導入した。日本で初めて銀行口座を連携した指紋認証決済システムを実現しており、食堂やオフィス内無人販売の決済、入退室が手ぶらで可能になる。

現在、Liquidが提供するサービスの参加加盟店数は1000を超え、銀行ATM、オフィスビル、飲食店、宿泊施設、遊園地、ライブ会場など、幅広い業態で使われている。

Liquidが提供する生体認証サービスの参加加盟店数は1000を超え、銀行ATM、オフィスビル、飲食店、宿泊施設、遊園地、ライブ会場など、幅広い業態で使われている

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