観光産業が落ち込む伊豆 地元発のテクノロジーで情報発信を変革

9月13日に事業構想大学院大学で開催された「観光デジタルマーケティング研究会」。静岡県副知事を迎えて、基幹産業である観光産業が落ち込む伊豆半島の課題が紹介された。静岡発のテクノロジーがこの課題を解決するひとつの手段として浮上している。

事業構想大学院大学で開催された研究会。伊豆半島の観光振興を目指し、今後も専門家と自治体関係者が検討を進めていく

「観光デジタルマーケティング研究会」は、自治体と地域の観光資源を活かして地元と連携しながら観光地域づくりを進めるDMO(Destination Management/Marketing Organization)や地域の自治体が、いかに今の時代に不可欠のデジタルマーケティング戦略を構築し、実践していくのかをテーマにした研究会だ。

今回は静岡県副知事の土屋優行氏、神戸大学准教授で事業創造&地方創生センター長の保田隆明氏、デジタルマーケティングに通じた静岡のGeolocation Technology社長の山本敬介氏が研究会の委員として参加した。

観光産業が落ち込む伊豆半島の課題

土屋副知事からは、地域の主要産業である観光産業が落ち込んでいる伊豆半島の現状が紹介された。7市8町ある伊豆半島は修善寺などの寺社、熱海・伊東に代表される温泉と沿岸の海水浴場に恵まれており、1991年度(平成3年)には年間1994万人が宿泊した。これは同時期の静岡全体の宿泊者(2765万人)の72%に達する。しかし、徐々に宿泊客数が減少しており、2017年度には1144万人とピーク時の約57.3%にとどまった。静岡県全体でも同様に漸減しており、現在も全体の約6割を占めてはいるが、ほかの地域との産業構造の違いから、伊豆半島はそのダメージが大きい。実際、伊豆半島地域では1991年度から2017年度までの間に宿泊施設が約4割、客室数は約3割減少している。

土屋優行 静岡県副知事

一方で、近年は明るい話題が続いている。

「2015年に韮山反射炉が世界文化遺産に登録されましたし、今年3月には『静岡水わさびの伝統栽培』が世界農業遺産に認定されました。静岡はわさびのシェアが70%で日本一、伊豆半島は県内における生産量の8割を占めていて、今後の観光資源になると考えています。さらに、4月にはユネスコ世界ジオパークに認定されました。2020年の東京オリンピック、パラリンピックの自転車競技の会場にもなっています」

もともとある寺社、温泉、豊かな自然という資産に加えて、世界文化遺産、世界農業遺産、オリンピック、パラリンピックの会場という観光にポジティブな要素を持つ地域は全国的に少ないだろう。そこで静岡県としてもマーケティングに力を入れて、伊豆の観光事業をテコ入れしたいという意向を持っている。

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