全国へ広がるコミュニティ財団 地域課題解決へ、お金の流れを生む

市民の寄付によって設立された公益財団法人や市民立のラジオ放送局など京都を拠点に、日本初の社会事業を次々と仕掛けてきた深尾昌峰氏。さまざまな事業体を使い分けながら、地域内での「お金の流れ」をデザインする意義と効果について聞いた。

深尾 昌峰(一般社団法人全国コミュニティ財団協会 会長/プラスソーシャルインベストメント 代表取締役会長)

――まず、京都にコミュニティ財団を設立された経緯について教えてください。

税金によって公共空間を支えるという高度成長期型のやり方に限界が出てきたからです。常に地域社会の課題は移ろい、ますます人々のニーズは多様化していくにも関わらず、人員削減や税収減少が予想される自治体だけに課題解決を委ねるのは無理があります。たとえば、DV(ドメスティック・バイオレンス)という課題は、2001年にDV防止法ができたことで社会的な課題としての認知を得て、政策が生まれ、税金を投入して対応できるようになりましたが、30年前なら単なる夫婦喧嘩で片付けられていました。つまり、社会的認知が高まるまでの期間は、日常生活で「ほっておけない」と気づいた市民が行動を起こし、仲間で取り組み、社会に広げていくというNPO的な動きで支えるしかありません。

この「市民にしかできない領域」にある課題を市民ならではの先駆性を生かして解決するために地域内でお金を循環させる新しいプラットフォームを作ることが新しい地域課題のソリューションだと考え、2009年に市民からの寄付による日本初の公益財団法人京都地域創造基金を立ち上げました。さらに2014年には、各地の財団が連携し「全国コミュニティ財団協会」を結成。現在、全国に約30のコミュニティ財団があり、同協会がハブになることで、各地の財団が連携しての仕組みづくりや連携軸の構築に邁進しています。

市民にしかできない領域を示した図

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