2020年までに100万社起業、ベトナムの描く起業国家戦略

若年層の人口比率が高いベトナムでは、起業件数が急拡大している。政府は「起業国家」の実現を目指して包括的な政策プログラムを推進、Fintechを含むIT分野や観光サービス、食ビジネスなどの成長が著しい。

ベトナムは若年層人口が多く、起業も活発だ(首都ホーチミン市の街並み)

2020年までに
100万社の起業目標

ベトナムは人口約9,000万人、その54%は30歳未満という若い国だ。スタートアップの設立とこれらへの投資が急激に拡大しており、起業はベトナム経済にとって最重要のエンジンになっている。

ブオン・ディン・フエ副首相は、2016年から2020年までに100万社のスタートアップを創出し、ベトナムを「起業国家」にするという野心的な目標を宣言した。2016年には約11万社の企業が新たに登録され、続いて2017年1-4月は39,580社と前年同期比14%増となった。IT、観光サービス、食ビジネスなどで特に起業が急増している。インターネットはベトナム国民3700万人以上に普及しており、毎年1,000以上のオンラインサービスが起業されている。

また、スタートアップに多額の投資が流入している。2017年1-3月に登録された資本金は総額約170億ドルで、前年同期に比べて54%増加した。ベトナムのスタートアップは国内だけでなく海外からも資金調達をしており、2016年はUTCインベストメント、スタンダードチャータード銀行PEファンド、ゴールドマンサックス、NTTデータなどがVC以上に活発に投資を行った。

スタートアップのM&Aも増えており、2016年は2.5億ドルと前年比46%の増加。M&A額の63% をFintechスタートアップが占めた。

「起業国家」を目指して、ベトナム政府は2025年までの「革新的スタートアップエコシステム構築計画」をまとめた。具体的には2025年までに①スタートアップエコシステムの主要な法的枠組みを整備する、②ベトナムのスタートアップに関するオンラインポータルを立ち上げる、③約800の新規事業と約200のスタートアップ企業を支援し、そのうち50社で総額5000万ドル規模の資金調達やM&Aを実施、という目標が打ち出された。

このように政府は、起業件数の増加だけでなく、個人投資家などからの追加投資の達成をゴールに設定している。政府の関与と起業家の努力で、ベトナムは今後、健全で持続可能なスタートアップエコシステムを構築していくだろう。

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