島根県知事の構想 「子育てしやすく 活力ある 地方の先進県」
溝口知事は、島根にある豊かな自然、古き良き文化・歴史、特色ある地域資源、温かい地域社会、そして勤勉な県民性など、都会では失われた地方の魅力を活かして、日本再生を目指す。
―島根県の産業の強みや課題をどのように捉えていますか。
これまでは、地方は経済発展に遅れた地域というイメージがありましたが、最近は、地方のほうが生活しやすいのではないか、あるいはいろんな面で豊かではないか、といった考えを持つ都市の若い人たちが増えているように思います。
島根などに来て農業をやりたいという人や、大都市の混雑した都市空間の中で仕事をするよりも、自然豊かな所で仕事をしたいという人が増えてきていることを実感します。
私の所にも学生時代の友達などが来ますが、やはり豊かな自然とか、こういう所に来ますと、一種感動を覚えるようです。こういう所が必要であることが、広く人々に知られるようになっていると思います。
それから、特に若い世代の人たちは、食の安全性に非常に大きな関心を持っています。結婚して、子どもを産み育てるとなると、自然の食品に近いものが必要であることも、地方に対するイメージを変えている一つの要因ではないかと思います。いろんなチャンネルを通じて、そうした地方の良さを多くの人たちに知ってもらえるように、努力していきたいと考えています。
IT企業の集積等を活かす
―IT企業の集積をどのように活かしていくのですか。
日本で初めて世界で通用するプログラミング言語「Ruby(ルビー)」を作った“まつもとゆきひろ”さんが住んでいることもあり、島根県ではソフトウエア産業が一定の広がりをもって集積しつつあります。
インターネットのおかげで、どこでもソフトウエアの開発が可能です。世界的に見ても、アメリカのサンノゼやインドのバンガロールなど、自然が豊かな地域でソフトウエア産業が発展することは珍しくありません。
島根県でも中山間地域で古民家をIT開発の仕事場にしたい人が出てきています。大都市のほうが顧客との接触では便利ですが、地方においてもインターネットにより、距離という障害もほぼなくなってきています。むしろ、自然の中の静かでゆったりした環境で開発をすることを求めるエンジニアが多いのです。
仕事がしやすいだけでなく、子育ての上でも都市部にある様々なストレスが少なく、のびのび育てられることも選ばれる理由の一つです。
ただ、顧客がいる遠距離の大都市にエンジニアが行かなくてはならないことも多々ありますので、県としてその交通費を補助するといった支援も行っています。
また、昨年開設した「しまねソフト研究開発センター」において、IT技術の開発や高度IT人材の育成などに取り組んでおり、県内IT企業の競争力強化と県外からの誘致を進めていきます。
IT関係以外では、県東部の安来市周辺で特殊鋼関連企業による航空機産業等への参入を目指す活動などが進んでいます。こうした、産業集積のポテンシャルを活かして、県内企業の競争力を強化していきます。
「しまねソフト研究開発センター(ITOC)」が オープンイノベーションの拠点に
◆ITOCの目的
- ・県内企業が国内外市場で売れる商品、サービスを創出し、集積するために、その創出にあたっての技術的な課題を解決する。
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