決済サービス「Square」を生んだ米国発DIYスペース、日本進出

日本各地で増加する、モノづくりのためのDIYスペース。今年4月には、米国大手チェーン、テックショップが日本に進出。会員同士のコラボレーションを生むために工夫を凝らしている。

4月に東京・赤坂のアークヒルズにオープンしたテックショップ東京。4カ月で会員数は350を超えた

アメリカ発のDIYスペース

学生風の若者、カジュアルな服装の女性、パソコン画面を見つめる男性、つなぎを着た白髪の高齢者......。平日の午前中にもかかわらず、様々な工作機器が並ぶ広さ1200平方メートルの真新しいワークスペースには幅広い世代が集い、それぞれの世界に没頭している。

今年4月1日、東京都港区赤坂のアークヒルズ3階にオープンしたTechShop Tokyo(以下、テックショップ東京)。アメリカに8店舗を展開する会員制DIYスペース大手、「テックショップ」がアブダビ、パリに続いて海外3店舗目に選んだ地が東京だった。

テックショップは2006年、現会長のジム・ニュートンによってカリフォルニア州メンローパークに創設された。ジム氏は「何か作りたいと思っても、身近に工作機器がない。簡単に工作機器を使える場所があったら面白い!」というシンプルな想いから起業。そのモノづくりへの情熱が、3Dプリンターなど工作機械のネットワーク化や低廉化、SNSやクラウドファンディングの登場といった追い風を受けて、この10年で世界展開をするまでに急成長を遂げた。

フォードは特許出願数が倍に

アジア初出店となるテックショップ東京は、アメリカのテックショップと富士通の戦略的パートナーシップに基づいて設立された。IT企業のイメージが強い富士通が、なぜDIY工房を始めたのだろうか?テックショップジャパンの代表取締役社長、有坂庄一氏は次のように話す。

「富士通はPCや携帯電話などを作ってきたモノづくりの会社でもあります。ただ近年は、高い技術を持っているのに、それを十分に活かしきれていないという課題がありました。テックショップに集うのは、富士通の通常業務ではリーチできていないエッジの利いたクリエイターが多い。新たな発見、これまでにないアイデアを得られる可能性もあると思っています」

有坂庄一 テックショップジャパン代表取締役社長

有坂氏が言うように、企業にとってテックショップは新たなイノベーションの種になり得る。アメリカでは、自動車メーカーのフォードがデトロイトの製品開発拠点にテックショップを併設したところ、技術者に限らず、モノづくりに関心の高い多くの社員が足を運ぶようになり、その結果、特許の出願数が倍になったという。

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