フィンテックの本丸「ブロックチェーン」のインパクト

社会に多大な利益をもたらすFinTech(フィンテック)の普及。とくにブロックチェーン技術は、様々な産業や公共分野にインパクトをもたらす。注目すべき技術や市場について、専門家が解説する。

高まるフィンテックへの注目

2015年頃から、日本国内でフィンテックが注目されるようになった。米国でのフィンテックスタートアップへの投資が伸び、日本にもその流れが到来したとも考えられるが、そもそも、スマートフォンやクラウドなどのテクロノジーの進化・普及が、日本を含めた全世界でのフィンテックブームの背景にある。

現在注目されているフィンテックは、少し前から金融関連のITとして存在していたインターネットバンキング、インターネット証券、電子マネーから更に進歩している。スマホ、クラウド、ビッグデータ、AI(人工知能)、APIなどを背景としたスタートアップ企業が中心プレイヤーである。

これらのスタートアップ企業が、既存の金融機関の存在を脅かすものとして認知されてきたため、国内外の大手金融機関も、フィンテックスタートアップ企業の買収や提携、ITベンダーとのフィンテックサービスの開発などを行い、対抗策を講じている。

本稿では、このようなフィンテックを巡る動きの中で、現在の注目分野や、プレイヤーの動き、幅広い産業界への影響などを見たうえで、今後のトレンド・見通しなどを考察してみたい。

ブロックチェーンを中心としたフィンテックは、金融のみならず行政・公的分野でも応用可能性が大きい。(写真は、電子行政とフィンテックの融合で行政コスト削減に取り組むエストニアの事例)

注目すべき3つの技術

フィンテックの領域とプレイヤーは、67ページの図を参照してほしい。主な領域として決済、PFM(個人財務管理)、クラウド会計、投資、融資、仮想通貨などが挙げられる。いずれも独自の技術やサービスを用いたスタートアップ企業の参入が目立つ。

注目するべき技術としてはAPI、AI、ブロックチェーンの3つがある。APIは、クラウド会計や家計簿アプリなど、銀行口座や決済情報と連動させるために必要な技術である。AIは、投資分野でのロボットアドバイザーや、融資審査を自動化するための技術などに用いられる。

ブロックチェーンはフィンテックの中でも本命ともいわれる技術である。ブロックチェーンは暗号技術とP2P(ピアツーピア)ネットワーク技術を応用し、データの改ざんを困難にした分散型の記録管理技術であり、中央集権的な管理主体なしで、情報に信頼性を与えることを可能にする。「ビットコイン」をはじめとする仮想通貨取引などに使われており、国際送金や銀行間システム送金のコストを削減することが可能となる。

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