宮崎県・河野知事の構想 フードビジネスNo,1への挑戦

温暖な気候が育んだ一次産業の強固な基盤、豊かな観光資源などを持つ宮崎県。東九州自動車道「宮崎~大分」の開通など、弱点だった交通インフラの整備も進む。宮崎県の今後の発展にむけた戦略を、河野俊嗣知事に聞いた。

河野俊嗣(こうの しゅんじ)宮崎県知事

―宮崎県ならではの地域の特色やポテンシャルについて、どのように考えていますか?

宮崎県は南国情緒豊かな気候と自然、記紀神話に代表される歴史、文化が残る県です。特色ある風土に育まれた温かい県民性もあります。全国でもトップクラスの農業産出額を誇る農業県であり、第一次産業の持つポテンシャルを活かしたフードビジネスを成長産業と位置付け、推進しています。

また、2015年3月、長年の悲願であった東九州自動車道「宮崎~大分」間が開通し、県内でも細島・宮崎・油津の重要港湾などが整備され、対国内における交通インフラが整い、利便性が大幅に向上しました。

それに伴い、大分県と展開する「東九州メディカルバレー」などの新たな産業の育成も加速化しています。さらに、3路線目の国際線となる宮崎-香港線の開設といった東アジアとの交流拡大など、新たな発展のための基盤が整いました。

みやざきフードビジネス振興構想(2013年策定)

九州一の6次産業化認定数

―宮崎県は一次産業の豊かさで全国的に知られています。

先般、国から発表された2013年の農業産出額で宮崎県は、全国第6位の3213億円と、前年に比べ177億円増加。各県が伸び悩む中、食料供給基地として宮崎県の存在感を示しました。

確固たる一次産業の基盤をもとに本県農畜水産物の「みやざきブランド化」や、海の幸、山の幸などの恵まれた食材を使った産品の6次産業化に力を入れています。「みやざきブランド」といえば、全国和牛能力共進会で日本一の連覇を果たした「宮崎牛」に加え、「完熟マンゴー」をはじめ「日向夏」や「完熟きんかん」、「みやざき地頭鶏(じとっこ)」など数多くのブランドが全国の消費者に定着し、信頼を得ています。

こうしたブランドの数々は、全国に先駆けて20年前から育成に取り組んできた結果です。「特長ある商品づくり」、「信頼される産地づくり」、「安定的な取引づくり」の3つの柱で、ブランドを育ててきました。商品づくりでは、消費・販売ニーズが多様化する中、「マーケット・イン」の視点に立った戦略の構築と魅力ある商品開発を進め、商品ブランド認証制度により37品目95産地を認証・認定するとともに、商品の特長を生かしたプロモーションを展開しています。

また、豊かな農林水産物を核とした食関連産業の振興を図るため、2013年3月に「みやざきフードビジネス振興構想」を策定し、産地の強化や高付加価値化、販路拡大などに取り組んでいます。主な成果としては、国の6次産業化の認定件数が九州第1位の82件となったほか、大規模な冷凍加工施設の新設と併せてほうれん草などの加工・業務用野菜の産地化を図ったり、鶏卵生産法人が独自の鮮度維持技術を開発して海外輸出を展開するなど、新しいビジネスの動きが県内各地で活発になっています。

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