銘建工業 木質バイオマス利用ナンバーワン企業の戦略

岡山県真庭市に、国内最大級の木質バイオマス発電所が完成した。バイオマスを起点とした、官民あげての林業再生、地域活性の取り組みが始まる。その中心を担う、銘建工業の中島浩一郎社長に話を聞いた。

木材製造で発生する木皮やカンナ屑をペレット化する

2006年にバイオマスタウンの指定を受けている真庭市は、地域一体となり、木質バイオマス事業に力を注ぐ。

2013年官民9団体が共同で発電会社「真庭バイオマス発電」を設立、総事業費41億円を投じ、発電所の建設を進めてきたが、この4月に完成、5月から本格稼働が始まった。発電能力10MW、年間出力は一般家庭2万2千世帯分に相当する7万9000MWhという、大規模な発電所だ。

新発電会社の筆頭株主で発電事業の中心となるのが、地元民間企業の銘建工業。同社社長で新発電会社の代表も務める中島浩一郎氏は、「この発電所は、まさに地域のパワーセンターです。これをエネルギー源にして、地域を元気にし、前に進んでいければと考えています」と話す。

銘建工業の発電用サイロ。同社は1984年からバイオマス発電を開始した

木材を全て使い切る

銘建工業の木質構造材は、金沢駅東広場の鼓門など日本全国の建築物に活用されている。

銘建工業は、1923年の創業。真庭市を拠点に、国内トップクラスの集成材事業をメーンとした材木製造を営んできた。近年は木質バイオマス利用のパイオニアとして注目されている。

昭和40年頃、岡山県内で製材産業に携わる人は約6000人いた。それが、現在500人まで減っているという。「60年ほど前、日本の林業はフィンランドやスウェーデン、オーストリア、ドイツなどの欧州と比較しても劣らない産業でした。それが今は完全に衰退産業です」

欧州では1990年代から木材産業の新しい動きが起きている。バイオマスエネルギー技術や集成材技術が発達し、植林から伐採、搬出、加工と、林業は厚みのある産業に成長してきた。

「木の全てを使いきるのが、木材加工業の本来あるべき姿です。古来、日本は木を扱うのが上手い国であったのに、バブルの使い捨ての時代を経て、木の扱い方を忘れてしまったようです。木材を余すところなく上手く使いきることができれば、社会にかなりのインパクトがあると思っています」

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