成熟市場で48期連続成長 寒天トップメーカーの「年輪経営」
寒天で国内シェア8割を占める、伊那食品工業(長野県伊那市)は、成熟市場にも関わらず、48期連続で増収増益を成し遂げた。塚越寛会長の経営哲学から、永続企業の条件を探る。
文・坂本洋介 アタックス 社長塾推進室
1977年、業界新聞にある広告が掲載された。そこには大きく「寒天はもう相場商品ではありません...」と書かれていた。
もともと、寒天は冬の限られた時間の中で、農家の副業として生産されてきた製品で、天候次第で生産量が激しく増減する典型的な相場商品であった。また「寒天は『和菓子の原料となる乾物』という消費財に過ぎない」という、食品業界の既成概念が根強くあった。
そんな相場商品であり、その用途も限られていた寒天を産業財にまで育て上げたのが、1958年に設立された伊那食品工業の塚越寛氏である。
21歳で社長代行に就任「脱相場商品」を目指す
塚越氏は、この会社の創業者ではないが、実質創業者といってもよい。1937年、長野県駒ケ根市に生まれた塚越氏は17歳のときに、当時は死の病と言われていた肺結核を患い、治療に専念するため、高校を中退し、3年間の入院生活を余儀なくされた。
病は完治したものの、3年間病で伏していた高校中退の人材を必要とする企業はなかった。そんな中で、ようやく地元の製材会社(伊那食品工業の親会社「赤穂工業」)に就職することができた。就職した製材会社には、いくつかの関連会社があり、その中の伊那食品工業に21歳の時に派遣された。
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