小泉八雲、ブルーノ・タウト...... 外国人が再発見した日本美

「外国人が見出す“日本人の気づかない日本の魅力”」に注目が集まっている。明治期を中心に訪日した、欧米知識人が注目した“日本の魅力”には、現代日本の地方創生にも繋がり得るヒントが多々隠されている。

ブルーノ・タウト。桂離宮・伊勢神宮・白川郷の民家などに日本美の本質を見出した

外国人観光客が日本で最も感動した点として、京都などの神社仏閣以上に、“新幹線ホームに整然と体育座りしている修学旅行生(小学生)たちの姿”を挙げるなど、我々日本人とは異なる視点からの日本評価に驚くことはとても多い。

「ジョハリの窓」を持ち出すまでもなく、「他国民は知っていても自国民は知らない自国の姿」というものが産業・観光分野においても多々存在する。

桂離宮。「一切は清純であり、それ故にまた限りなく美しい」(タウト) Photo by David Sanz

また、バブル崩壊以降の長期低迷を通じて日本人がすっかり自信を失ってしまったのに反し、諸外国においては今や“空前の日本ブーム”であり、その温度差が著しく拡大しているという現実もある。

そうした背景もあって、特に今年に入ってから、民放キー局の番組編成においても“外国人から見た日本の魅力”をテーマにした番組が花盛りになっている。

そこで本稿では、“外からの視点で見た日本”という方向性を踏襲しつつも、それを歴史的視点から捉え直し、幕末から昭和・戦前期までに日本を訪問した外国人が、日本のどんな点に注目し、それをどのように評価してきたか、という点を検討してみたい。

それを通じて、日本や日本人が本来的に有していた美質で、今なお気がついていない点はないか、あるいは、いつしか忘れ去ってしまったものはないか、などを確認し、そうした美質を活用しての地方創生につなげることができればと願う次第である。

もちろん、日本を訪問した外国人と言っても、その質において多様である。ここでは、一過性の旅行者ではなく、明確な問題意識を持って日本を訪れ、長期滞在した人物に限定したい。それによって、表層的な“異国趣味”で日本を礼賛するような向きを排除し、専門性をベースにした忌憚のない評価・意見を抽出する。

こうした観点から今回調査した結果浮かび上がってきた彼ら共通の関心事・評価ポイントは4つ、すなわち「建築」、「工芸」、「子ども」、「女性」であり、これを順に見ていきたい。

日本文化の本質はどこに?

日本の建築に関する発言で最も注目されるのは、「日本美の再発見」(1939)などの著者で、ドイツの建築家のブルーノ・タウト(1880~1938)である。

彼は言う。「桂離宮は、伊勢の外宮と共に、日本建築が生んだ世界標準の作品と称してさしつかえない」と。

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