実需を追え!次世代車実証大作戦

全国各地で、EVやハイブリッド車を使った実証実験は数多い。そのなかで、最も多種類の電動移動体を駆使し、様々な年代層と活用場面での実需を深堀りしているのが熊本県だ。

他都道府県とは違う雰囲気

どうして、熊本県が電動車の実証実験に積極的なのか?そこには大きく2つの理由がある。

JR肥後大津駅前。電動二輪車のパークアンドライド

第一に、環境対策だ。同県は世界屈指のカルデラを有する「阿蘇くじゅう国立公園」、さらに大小120の島で構成される「雲仙天草国立公園」など自然豊かな風土だ。そこに、154万2732台(2011年度)の車両がある。

クルマ社会であるため、その実動割合が高い。

環境への影響を考慮すればおのずと、自動車の電動化が検討される。

第二に、産業振興だ。同県の主要産業は、ルネサス等の半導体関連、ホンダの自動車・自動二輪車や造船などの輸送機器関連、そして食品関連だ。県では「熊本県産業振興ビジョン2011」を基盤として中長期戦略を推進している。だが、現実は厳しい。半導体産業はリーマンショックを経て、世界市場での競争環境が大きく変わった。自動二輪車産業については、タイなど新興国からの完成車輸入が増加し、日本国内生産量の低下が続いている。そうしたなか、ホンダは、本田技術研究所(埼玉県和光市)から自動二輪開発部門の大半を熊本製作所(熊本県菊池郡)に移管。大型二輪車に特化した「ブランド工場」への変革を進めている。また同製作所では、汎用エンジンと電動カートを製造。太陽光パネル製造のホンダソルテック本社もその近隣にある。

熊本県商工観光労働部・新産業振興局・産業支援課・課長の奥薗惣幸氏(写真左)と、同課長補佐の内藤美恵氏。

このような社会背景のなか、熊本県とホンダは平成22年8月5日、「次世代パーソナルモビリティの実証実験に関する包括協定」を締結しだ。

同実験の基盤となるのが、経済産業省の「EV・PHVタウン構想」(10年12月認定)だ。筆者は全国各地でこれまで、様々な同構想事案を見てきた。

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