上場させた企業は30社 スタートアップは時間のスピード感性が命

スタートアップを金融サイドで支えているのは、リスクの高い創業期から投資を行うベンチャーキャピタル(VC)。日本で初めて、スタートアップ投資を専業とした独立個人型VCを設立した村口和孝氏の歩みを、1980年代の活動初期から2020年代まで、投資と企業成長・上場支援活動から振り返る。

東京では様々な経営者と幅広に面談し、新規投資2件(すべて後に回収成功)を実現したのだった。その後1987年に北海道ジャフコ(札幌)に転勤した。なお、当時は日本のサラリーマンキャピタリストだから、ハンズオンよりむしろ健全性を担保するため、転勤という人事異動で、場所を移すことがよしとされていた。しかし本物の、投資組合に責任を負っているキャピタリストなら、転勤や人事異動は投資事業組合のパートナー出資者(LP)が決めることで、勝手な人事異動などありえない。組合契約書にはキーマン条項があって、GPは、勝手にやめたり異動したりしてはいけないのだ。

1987年からは、新規上場が10年以上ない状態の広い北海道で、徹底的に起業家を探した。本来、上場会社が出現すべきところで10年以上それがないというのは、いわば噴火しないでマグマが溜まっている状態だと考え、チャンスだと思った。とは言えそのような休火山の北海道に身を置くことで感覚が鈍らないように、毎年1回は私費で世界のスタートアップを視察に行くことにした。そして北海道にいる間に、いよいよ10年以上久しくなかった上場会社が出た(表1)。またプライベートでは、30歳前後で結婚して子どもができた。

表1 1985-1989年の企業上場サポート体験

時代背景:1984年Apple Macintosh発売、1985年プラザ合意(円高へ)、スーパーマリオ発売、1987年2月NTT上場、1989年天安門事件、日米構想協議、マルタ会談、ベルリンの壁崩壊

 

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