脱ハンコで業務改革とサービス向上 アドビのクラウド型電子サイン
行政サービスのデジタル化が自治体に求められる中で、クラウド型の電子契約サービスへの注目が高まっている。アドビの提供するクラウド型電子サイン「Adobe Sign」は、紙とハンコに依存した手続き業務からの脱却や、オンライン申請の実現に寄与する。
政府のDX推進で
「脱ハンコ」の流れが加速
行政のデジタル化が進む中、多くの自治体で手つかずとなっている業務がある。紙と印鑑を使った手続き関連のデジタル化だ。
日本では契約書などの重要書類に押印するハンコ文化が根強く残っているが、コロナ禍で紙と押印によるプロセスがデジタル化の阻害要因となっていることが明確になり、自治体においても紙と押印による諸手続きのデジタル化に早急な対応が求められている。電子サインとは、電子形式の文書やフォームに対する同意・承認の意思を、法的に有効な形で記録するための手段で、電子サインの導入により事実上すべてのプロセスから手書きの署名をなくすことができる。
これまで電子サイン導入に遅れを取っていた日本だが、コロナ禍の長期化を受け、電子契約を巡る法的制度の見直し・整備が急速に進められている。自治体においては、2021年1月に地方自治法施行規則が改正されたことで、「電子署名法第2条第1項に定める電子署名」を用いれば電子サインを用いて契約を締結可能となった。一方、国との契約は2020年12月の契約事務取扱規則の改正により、クラウド型電子サービスでも利用可能となった。電子署名法や電子帳簿保存法といった関連法令も、電子サインの利用を推進する施策や法改正によって、クラウド型の電子契約サービスを利用できる環境が整いつつある。
世界規模で通用する
アドビの電子契約システム
紙とハンコに依存した手続き業務を改革すべく、デジタルドキュメント分野のリーディングカンパニーであるアドビが提供するのが、クラウド型電子サイン「Adobe Sign」だ。
「Adobe Signは、36ヶ国の言語に対応し、全世界で年間80億件の契約処理に使用されるグローバルスタンダードなサービスです。日本から利用する場合は、世界水準のセキュリティ基準を満たす日本国内のデータセンターですべてのトランザクションを保存、管理しています」と同社の岩松健史氏は話す。
文書ファイル形式「PDF」やフォトレタッチソフト「Adobe Photoshop」の開発元としての知見を活かし、シンプルな使いやすさと文書の真正性担保を両立しており、米国では多くの官公庁や自治体で同社のAdobe Signが活用されている。
Adobe Signは契約業務のデジタル化に留まらず、あらゆる既存業務とストレスなくシームレスな連携が図れる点も見逃せないメリットだ。「Microsoft OfficeやTeamsに加え、Salesforceやkintoneなどの外部システムとも連携できるため、紙で行っていた業務プロセスをデジタル化し、業務全体の最適化に役立たせることができます」
オンライン申請にも活用
昨今、自治体においてもクラウド型のコミュニケーションシステムやワークフローシステムの利用が増えつつあるが、その多くは庁内での利用に限られ、「調達・入札など民間企業との契約業務」、「住民や企業からの申請業務」、「行政機関から許可や認定を行う業務」といった外部とのやりとりは、今なお紙での業務が主流だ。民間企業との契約業務に関しては、民間企業と同様にB2Bの契約システムを採用することになるが、「入札システムのように認可を受けた業者がログインできる仕組みと連携することで、契約相手の身元照会などの証明性をより安全に取り扱うことができるようになります」と岩松氏は言う。
図 Adobe Signによる申請・認可業務のデジタル化
また、住民からの申請業務に関しては、電子化に伴い、本人性の確保や集中処理の対応などを検討する必要があるという。「単純に申請フォームをウェブに公開するだけでは、申請者の身元の確認などが不十分になる可能性があるため、特に給付金などはハンコに代わる本人性の証明方法を考えなければなりません。昨年、マイナンバーカードの交付申請が一時期急増したように、申請業務は最も負荷が高い状態のシステム構成が必要となるものの、利用頻度の低い時期は運用コストの無駄が生じるという課題があります。また、サイバー攻撃などのセキュリティ対策にもコストが掛かることも考慮すると、安価なクラウドシステムの活用が望ましいと考えられます」
加えて、行政機関から許可や認定を行う業務では、印鑑の代わりとしてGPKIやLGPKIなどの行政機関の認証サーバが発行する電子証明書を、証書のPDFに埋め込むことで証明を行う方法があるという。
なかでも、住民サービスを向上する「オンライン申請」に利用する場合は、Adobe Signの標準機能でシステムを手軽に構築し、セキュリティやシステム負荷はクラウド上で管理することができる。まず既存の申請フォーム(PDF)をAdobe Signにアップロードし、署名欄や入力欄を設定した上で、入力フォームとしてインターネットで公開する。住民はそこから申請フォームを閲覧し、PCやタブレット、スマホからサインする。申請データはCSVで出力できるため、事後の事務作業での活用が可能になる。
Adobe Signをはじめ20年以上にわたりアドビ製品の販売、管理運用、保守を担ってきた、アドビの販売代理店を務めるダイワボウ情報システム。同社の山形伊織氏は「当社はIT流通を支える国内最大級のディストリビューターとして、国内外のメーカー・サプライヤーから仕入れた約220万点の商品を、国内約19,000社の販売パートナー様を通じて全国各地のエンドユーザーにお届けしています。全国93の営業拠点を擁し、地域に密着した営業体制を構築しているため、『顔の見えるディストリビューター』として、アドビ、販売店と三位一体で自治体のDX推進に貢献してまいります」と結んだ。
お問い合わせ
アドビ株式会社
デジタルメディア事業統括本部
TEL:0120-93-3635
MAIL:Grp-Adobe-GovInfoDesk@adobe.com
URL:https://acrobat.adobe.com/jp/ja/acrobat/contact.html
この記事に関するお問い合わせは以下のフォームより送信してください。