第7回 地域のエネルギーシフトを進める「PIY-DIY」戦略

IPCC第6次報告書が改めて強調した脱炭素は、地域経済を活性化するエネルギーシフトにつながる。各地域が、それぞれの条件に合わせたエネルギーシフトの具体的戦略を持つこと、外部の企業や専門家が、地域の主体性を大切にしたサポートを進めることを期待したい。

地域からのエネルギーシフト

地域の人為的CO2排出実質ゼロは無理ではない。たとえば、内燃機関の車をEV(電動車)化すれば、熱として捨てている約80%のエネルギーの分だけCO2が削減でき、燃料代も大幅に節約できる。これに省エネと自然エネルギーへのシフトを加えればよい。

PIY-DIY戦略

太陽も、風も、水も、それを生かした者が恩恵を受ける。自ら取り組むことなしに地域資源は地域のものにはならない。逆に、自分たちが推進していると地域の人々が思える形の事業構想を提供していくことで、地域エネルギーシフト支援という大きな市場も開かれる。地域側がとるべき戦略は以下のPIY(Plan It Yourself)-DIY(Do It Yourself)3戦略に尽きる。

①「地域自身による、地域のための、地域に帰属する」事業として企画。

② 計画作成段階から、役場だけ、一企業だけ、あるいは、外部者の独走という形ではなく、地域の総意が結集される形の取り組みを進める。

③ 課題と解決を明快に見通すリーダー・グループを形成する。小異にこだわらず、技術、ノウハウ、資金のすべてで地域外からも学び、工事等のPIY-DIY、導入技術の継承・内製化などを、粘り強く追求する。

PIY-DIY的省エネ作戦の考え方

光熱費省エネの最も手近な代表例は水銀灯や蛍光灯のLED化である。しかし、通常の見積もりには、投資回収6~25年というつらい数字が躍る。これは、劣化した街路灯支柱の交換や、地震対策上器具ごと交換などが想定されるためでもある。低炭素化のみの経済効果の見える化が必要である。

常時点灯が不要な施設も多い。点灯時間が長い水銀灯は通常つけ放しにされている。倉庫などは、人が居る時だけ100% 点灯するLED照明で、約90%の省エネ・経費削減が可能になる。夜間の照明についても余地は十分ある。設計事務所等への丸投げでなく、現場をよく知る地域の業者を含めて、PIYをすることが肝要である。

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