ノーコードのアプリ作成ツールが実現、「現場主導」の防災DX
アステリアが提供するノーコードのモバイルアプリ作成ツール「Platio(プラティオ)」は、防災DXにも活用できる。熊本県小国町では、Platioで作成した「被災状況報告アプリ」で防災DXに取り組み、さらに他の業務のアプリにも応用して現場主導のDXを進めている。
ノーコードのアプリ作成で
現場の職員がDX人材に
1998年創立で東証一部上場企業のアステリアは、世界5ヵ国に拠点を持ち、「つなぐ」をテーマとしたITソリューションを提供する。主力製品のデータ連携のソフトウェア「ASTERIA Warp」をはじめ、シェアNo.1のモバイルコンテンツ管理ソフトウェア「Handbook」や、モバイルアプリ作成ツール「Platio」などがある。
Platioはノーコードで、防災分野を含む自治体や企業のDX推進をサポートするサービスだ。自治体の防災担当者は様々な課題と直面している。「例えば、関係者間の情報共有や情報の正確性、迅速な初動対応、災害時の継続的な状況把握、情報提供、対応する人員の確保などの悩みがあります」とアステリアでエバンジェリストを務める松浦真弓氏は指摘する。
これらの悩みに対し、解決策を提供するのが、現場の担当者が自らアプリを作って防災DXを推進できるモバイルアプリ作成ツールのPlatioだ。「DX人材は必ずしも、エンジニアだけだとは限りません。今いる現場の方々がDXを担える仕組みを作ることが大切です。そのために役立つのが、プログラミングなどの専門知識がなくてもソフトウェアやアプリを作れるノーコードの仕組みです」(松浦氏)
ノーコードのサービスを使えば、現場の職員自身が、業務アプリを作成して運用できるため、変化にもスピーディーに対応できる。身近な課題の解決から、主体的にDX推進に関わることで、次第に職員の意識も変わり、現場主導でDXが進むようになる。総務省が発行する『自治体 DX 全体手順書』でもDXを担う人材については、IT人材を確保した上で一般職員もDXに参画する必要があるとしている。
現場主導のDXでは、アプリの作成で業務をデジタル化・省力化し、現場の仕事を現場の人たちが変えていく。アプリを用いた業務改善が1つ成功すると、「他の業務にも使えるのでは」という発想が生まれ、応用力が付いていく。こうして小さな成功を積み重ねることで「現場のDX人材」が育ち、貯まったデータの活用などを通じて新しい価値の創造もできるようになる。
テンプレートを選んで
編集するだけでアプリが完成
現場主導のDX実現に向けては、①機動性に優れたモバイル活用、②スタートしやすい価格体系、③日々改善できるスピード感、という3つの要素が必要になり、Platioはこれらを備えている。Platioには大きく分けて、「作る」「使う」「見る」「検知」という4つの機能がある。
「作る」機能では、100以上ある業務アプリのテンプレートを選び、編集するだけで簡単にアプリを作れる。「使う」機能では、iOS/Androidに対応した無償のアプリをダウンロードし、ログインすれば、すぐに業務アプリとして利用可能だ。「見る」機能では、集まった情報がリアルタイムにクラウド上に保存され、管理者はパソコンでもモバイルでも即座に確認できる。データをExcelやCSVでダウンロードしたり、他のシステムに連携させる仕組みもある。さらに、大切な情報を見逃さないための「検知」や通知の機能も付いている。
防災に関しては、危険地域情報共有、被災状況報告、河川などの水位監視など、防災業務で使うアプリのテンプレートが用意されている。「Platioには様々な特長がありますが、防災の観点で1つ重要なのは、オフライン対応です。災害現場で通信が途絶えても報告を作成でき、通信が復帰してから情報を同期できる仕組みです」(松浦氏)
被災地の情報も災害対策
本部の職員と即座に共有
例えば、熊本県小国町ではPlatioで作成した「被災状況報告アプリ」で防災DXを進めている。アプリはPlatioのテンプレートをアレンジして作り、小国町独自の機能も複数追加した。災害時には職員が被災した地域や避難所へ行き、災害対策本部ではそれらの職員から届いた情報を大型のモニタに表示して対応する。被災地域に行った職員はスマートフォンに入れたアプリを使い、日時や現場の状況に関する情報、現場の写真、自動で取得される位置情報などを送信する。
「特に、位置情報や座標のデータ、写真は重要です。これらをアプリで送信するとクラウドに保管され、即座に災害対策本部や避難所などにいる他の職員も情報にアクセスできます」と熊本県小国町政策課地域振興係長の長谷部大輔氏は説明する。
2020年7月に発生した豪雨の際は、まだアプリを導入しておらず、災害対策本部に設置した多数のホワイトボードに、現場から次々に集まる災害状況を手書きしていた。
「集まった情報を手作業でExcelに転記し、まとめていましたが、被災現場が多く何百件も報告があり、情報の整理や入力で混乱しました。また、県への報告では災害箇所の経度と緯度もデータで送る必要があり、それらを後から地図で拾い直す作業も発生しました。しかし、アプリならデータで一括管理できるため、このような手間や混乱はなく、経度や緯度も自動取得できます」(長谷部氏)
長谷部氏は当初、Platioを使って危険箇所の報告を行うアプリを試験的に作成していたが、昨年5月、「翌日に大雨が降る」という予報があったため、たった1日で被災状況報告アプリを作ったという。その後は利用した職員らの声に応えて迅速に修正を加え、より使いやすいものに改善していった。
長谷部氏らはさらに、避難所における避難者数の報告や、選挙の際に行う各投票所の投票者数の報告にも同様の仕組みが使えると考え、それらのアプリも作成した。他にもコロナ禍での職員の検温と、出退勤の管理を結び付けたアプリも運用している。小国町では現在、約100人いる全職員が、Platioを使用している。
アステリアの松浦氏は「小国町の事例は、まさに現場主導の防災DXです。現場を最もよく知る担当者が「現場のDX人材」となり、自らアプリを作り運用することで、様々な業務の課題をデジタルで解決していきます。そうなれば、業務の改善や成果にも直結し、一歩進んだDXにチャレンジできるはずです。他の自治体の皆様にも、DX推進のはじめの一歩として、防災DXやモバイルアプリの活用を検討いただきたいです」とアピールした。
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