自動車エンジン部品のTPR EVシフトに対応、新分野の成長を目指す

ピストンリング、シリンダライナなどのエンジン部品で世界的なシェアを持つTPRグループ。EV化が進み、自動車業界が大変革の時代を迎えるなか、新たな収益の柱を育成しつつ、エンジンとEVの両輪での経営戦略を描く。市場の成長が見込まれるインドや中国での展開にも注力している。

末廣 博
(TPR 代表取締役会長兼CEO)

EVシフトで高まる危機感
エンジンとEVの両方でビジネス

自動車エンジンのピストンリングを祖業とし、1939年に創業し、今年86周年を迎えるTPRは「帝国ピストンリング」の名で、エンジンの主要部品、機能部品の製造をメインに多角化を進め、2011年に現在のTPRへ社名を変更した。

TPRのコア製品の1つ、ピストンリング。エンジン内の高速運動する部分に使われる

「エンジンの機能、燃費、耐久性に関わる部品の開発・製造を続け、その高性能化・高機能化に命をかける、『エンジン大好き人間』が集まって成り立ってきた会社です」と同社会長の末廣博氏は話す。

強みは、高熱・高摩擦に耐える部品をつくる技術力と、質の良い部品を大量に生産するものづくり力。さらに、世界の自動車メーカー、二輪メーカー、農機・建機、産業機器など、エンジンを使うすべての企業という幅広い顧客層を持つ。加えて、世界6極(日本/中国/東南アジア/インド/欧州/北米/南米)58拠点で、高品質な大量生産と地産地消できる納入体制を構築している。

そんなTPRが現在、直面する大きな課題はEVシフトだ。気候変動問題が深刻化し、世界的に脱炭素への動きが進むなか、自動車業界は電動化に向けて舵を切っている。エンジン部品を中核としたパワートレイン事業を主力とするTPRにとって、バッテリーEVへの転換は、大きな危機といえる。ただし、充電インフラの状況やEVの航続距離を考えると、完全なEV化の実現にはまだ時間がかかりそうだ。エンジンとモーターを両方搭載したハイブリッド車やプラグインハイブリッド車が伸びている現状もある。

全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り74%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。