貴重な国産天然ガスを未来へつなぐ 総合エネルギー企業へ進化を表明

1931年に創業した、日本で最も歴史のある天然ガス事業者がK&Oエナジーグループだ。脱炭素へ向けたトランジション期、地政学リスクのない資源として、ますます重要性が高まる国産天然ガス。変化する外部環境を踏まえ、2022年には新たな経営理念を策定した同社社長の緑川昭夫氏に話を聞いた。

緑川 昭夫(K&Oエナジーグループ代表取締役社長)

千葉県から神奈川県にかけての東京湾を囲む地域からは天然ガスが採掘できる。K&Oエナジーグループは、この天然資源を活用するべく1931年に創業した大多喜天然瓦斯を起源とする企業だ。第二次世界大戦と高度成長期を経て、2014年には天然ガスを生産する関東天然瓦斯開発、その天然ガスを都市ガスとして販売する大多喜ガスが経営統合し、両社の持株会社となるK&Oエナジーグループを設立した。地下水に溶け込んだ天然ガスを採取した後のかん水(古代の海水)からヨウ素を製造し国内外に供給するK&Oヨウ素、地熱発電のための地熱井の掘削を行うWELMAを含めた4社をグループの連結事業会社とし、ガス事業、ヨウ素事業をメインに再エネ事業へも目を向けている。

ガスから総合エネルギー企業へ

世界的な脱炭素への動き、加速するデジタル変革、コロナ禍による生活様式の変化。外部環境の大きな変化を踏まえ、K&Oエナジーグループでは2022年に新たな経営理念を策定。「エネルギーとヨウ素の開発・生産・販売を通じ、快適で豊かな生活と持続可能な社会の実現に貢献します」とした。

同社社長の緑川昭夫氏は「創業から90年間、事業の中心としてきた『ガス』を、『エネルギー』という言葉に置き換えました。非常に勇気のいる決断でしたが、事業の中心をガスから様々なエネルギーへと変革していくのが、新たな経営理念に込めた思いです」という。

脱炭素社会に向けたトランジション期におけるクリーンなエネルギーとして注目される天然ガス。K&Oエナジーグループの事業基盤である南関東ガス田は、千葉県を中心に茨城・埼玉・東京・神奈川県下にまたがる広大な水溶性ガス田だ。千葉県で国産の天然ガスが採取されていることを知る人は少ないが、同ガス田の可採埋蔵量は3685億㎥に達し、現在の年間生産量で計算すれば約800年分になる。

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