社会インフラを維持する覚悟 医療用医薬品の流通を担う

医療用医薬品卸をメイン事業とするアルフレッサホールディングス(HD)は、2022年5月、2022~24年度までの中期経営計画「未来への躍進~進化するヘルスケアコンソーシアム®」を発表した。絶対に止められない医薬品の流通を担う企業が目指す姿とは。注力テーマや今後の戦略などを、荒川社長に聞いた。

荒川 隆治(アルフレッサ ホールディングス 代表取締役社長)

大手医薬品卸企業の
2つのターニングポイント

2003年に大手医薬品卸2社の共同持ち株会社としてスタートし、2023年には20周年を迎えるアルフレッサHD。連結対象会社16社、グループ全体としては36社の連合体であり、グループ全体での売上高は約2兆6000億円、従業員数はパート社員も含め約1万4000人にのぼる。健康に関する事業領域は多岐にわたり、医療用医薬品等卸売事業、セルフメディケーション卸売事業、医薬品等製造事業、調剤薬局などの医療関連事業の4つのセグメントがある。中でも医療用医薬品等卸売事業が売上の8割以上を占める。

「医薬品を適正な方法で、お得意さまである医療機関へ安心・安全に届ける。その先には薬が必要な患者様がいる。弊社グループの事業は、水道や電気と同じ社会インフラのひとつであるという自負を持ち、私たちは日々仕事に取組んでいます」と同社代表取締役社長の荒川隆治氏は力を込めて述べる。

同社はこの20年弱の間に、2回の大きなターニングポイントを経験した。ひとつ目のターニングポイントは、業界をあげて流通改善の気運が高まった2011年頃。医療用医薬品市場において、売上を追求すれば利益がついてきた時代に終わりの兆しが見え始め、いかにして利益を生み出していくかが問われていた。「当時の先輩方が、それまで売上志向だったグループの営業姿勢を意識改革し、2年かけて利益志向へ変革していきました」と荒川氏は歴史を顧みる。これによりアルフレッサグループは、業界屈指の利益率を誇る会社へと脱皮した。

次のターニングポイントが2019年~20年。アルフレッサグループの医療用医薬品卸を手掛ける事業会社が、医療用医薬品の入札に関する独占禁止法違反の罪に問われた。これは医薬品卸大手4社がかかわる事件で、会社の信頼が大きく失墜した。事件の背景について、荒川氏は「『医療機関、その先の患者さまのために』というのが、私たちの一番の使命ですが、それがいつの間にか売上計画や利益計画達成のために、という数字目標にすり替わってしまった」と振り返る。

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