知識の制度化を考える 「2つの脱炭素」からの賢明な選択

脱炭素論がますますにぎやかである。しかし、それを、地域とビジネスの、一過性でない発展につなぐためには、なお併存している「2つの脱炭素論」の中から、賢明な選択をすることが試されている。本最終回では、これまでの連載をふりかえる形で、地域が選択すべき道筋を提案する。

図1 「大洪水」は来る!

IPCC 第6次評価報告書 第1作業部会報告書「気候変動2021:自然科学的根拠」政策決定者向け要約(SPM)暫定訳(2021年9月1日版)より

 

数波に及ぶパンデミックの襲撃、本格的な脱炭素目標やエネルギー基本計画の改訂、そして、戦後世界のパワーバランスの根幹を揺るがすロシアのウクライナ侵攻のなかで、本連載は、今回で予定通り終了することとなった。昨年4月号の第1回「『好機』としての気候危機回避」(オンライン版:「『本気の脱炭素』が作る、新しい地域とビジネスのかたち」)以来、本連載を通底してきた思考は、「地域」経済を発展させる視点からの「現代産業社会の再構築」だった。化石エネルギーの消費者としての地域が、技術に、各種事業構想に、また資金調達に対して、主体性を堅持しつつ外部者とも連携し、気候危機回避・脱炭素を地域発展の好機にするというシナリオである。

もう1つの視点は、「日本にはエネルギーがある」ということである。長らく輸入エネルギーに慣れてきた商工業界も、国産エネルギー時代を切り開くために、地域との連携を真剣に考えるべき時期に来ている。

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