スーパーシティにおける防災DX 高度なデータ活用で目指す減災社会

スーパーシティにおいても防災への取り組みは欠かせないが、防災分野のDXはどのように進めていくべきなのか。一つの見本が、大分大学減災・復興デザイン教育研究センターが県と連携して進める、防災・減災のための情報活用基盤の構築へ向けた取り組みだ。センター長の鶴成教授に取り組みの経緯を聞いた。

鶴成 悦久(大分大学減災・復興デザイン教育研究センター
センター長/教授)

大分大学が県と開発に取り組む
「EDiSON」とは

風水害、地震(南海トラフ)、火山と、あらゆる災害リスクを抱える九州。特に近年は「平成24年7月豪雨」、「平成29年7月豪雨」、「令和2年7月豪雨」と、大規模な風水害が頻発している。こうした中、2018年に常設のセンターとして設立されたのが、「大分大学減災・復興デザイン教育研究センター(CERD、サード)」だ。災害調査・防災教育・復興デザインを3本柱に、多岐にわたる分野を融合し、様々な視点で減災に関する調査・研究・教育を行っている。

CERDが現在、世界的なITベンダーである独SAPの日本法人、大分のIT企業ザイナスと3者で開発を進めているのが、「防災・減災のための情報活用プラットフォームEDiSON : Earth Disaster Intelligent System Operational Network(エジソン)」だ。災害発生時の迅速かつ正確な初動対応を実現するべく、多岐にわたる災害情報の統合・共有・活用を目指している。

同プラットフォーム開発の大きなきっかけとなったのが、2018年4月に中津市で発生した、民家4軒を飲み込む大規模な土砂災害だった。当時、中津市から災害派遣要請を受け、現地で対応に当たったCERDセンター長の鶴成悦久教授は、「災害対応には基礎自治体のほか、支援組織として多様な機関が当たります。ところが、各機関の情報を共有し、横串を刺して一元化する仕組みがなく、現場の意思決定が迅速に進まないという、大きな課題を目の当たりにしました」と振り返る。

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