QUICKのサービスを活用した石川県のDX 県と市町の連携で推進

石川県は、生成AI(人工知能)を利用した「AI石川県知事 デジヒロシ」による広報活動を2023年8月から展開している。また、「石川県広域データ連携基盤」の構築を進めているほか、北陸三県の観光データ連携にも取り組み、全国でも類を見ない観光データ連携地域にしていくことを目指す。

QUICK データソリューション事業本部の北村 慎也氏と、石川県副知事の西垣 淳子氏

AI知事「デジヒロシ」による
広報活動を8月に開始

石川県は2023年8月、生成AIを利用した全国初のAI知事が県の広報活動をする「AI石川県知事 デジヒロシ」の取り組みをスタートさせた。デジヒロシでは、馳 浩(はせ ひろし)石川県知事を広報キャラクターとして、生成AIが原稿から、それをデジヒロシが読み上げる動画まで作成する。

県のプレスリリースなど年間2000以上が公開される広報資料や経済統計、県内のイベント、災害、保健福祉に関する情報を基に原稿や動画を作成することができ、X(旧・Twitter)やYouTubeなどで毎日、発信している。生成AIによる原稿や動画の作成は毎回、10分程度でできるほか、最大40以上の言語にも対応しており、海外への情報発信も強化できる。

「石川県は海外からの観光客も多く、多言語での発信に注力してきましたが、市や町、民間事業者の様々なイベント情報までは、なかなか拾えませんでした。しかし、デジヒロシの導入によって、それらのデータを集めて多言語で発信することができるようになりました」と、石川県副知事の西垣淳子氏は語る。

西垣氏は2022年7月、副知事に着任し、同年10月以降は県の最高デジタル責任者(CDO)として県のデジタルトランスフォーメーション(DX)を率いてきた。

デジヒロシの核となる生成AI
「QUICK Smart Brain」

デジヒロシで使われている生成AIを開発したのは、「日経平均株価」の算出や国内外の金融・経済情報サービスを提供してきたQUICKだ。QUICKは近年、官公庁や地方自治体、個人投資家などを幅広くサポートするサービスも展開している。

デジヒロシは、QUICKが2023年8月から提供している生成AIを利用した新サービス「QUICK Smart Brain」の活用第1弾となった。QUICK Smart BrainではQUICKが持つ経済情報や各種イベント、気象、人流に関するデータ、SNSのトレンドに加え、企業や団体が保有するデータなどを対象に、情報・データ収集から文章作成、複数言語に対応した音声や動画作成まで一括で行える。現在は、石川県などの地方自治体だけでなく、事業会社にも広く活用されている。

「今後、AIによって変わることは何かと考えた時、生産性向上や業務効率化は当然ですが、その中にあって情報密度が大きく変わると思います。今後は様々な領域やチームにおける情報の密度、解像度が上がるようなものや、専門性の高い情報伝達が可能になるでしょう」と、QUICK データソリューション事業本部の北村慎也氏はみる。

例えば、図や表を並べたチャートや、それを読み下した文書などを生成AIで生成したキャラクターに語らせたり、自分の会社や組織だけの番組配信ができるようになる。「これによって、データや情報を受け取るデバイスも空間に変わるのではないかと考えています。石川県のデジヒロシは、その1つの先行的なモデルです」(北村氏)。

「3本の矢」で観光デジタル
マーケティングを推進

デジヒロシの導入に先立ち、石川県は2023年6月、行政事務での生成AI活用に関するガイドラインを策定した。そこでは個人情報を入力しないことや、AIが生成した文章は、職員が自ら根拠や裏付けを確認することなどを定めている。さらに、生成AIの利活用を促進するため、 県職員で情報共有する掲示板を設置し、活用事例等の情報交換を進めている。

2022年10月に、県全体のデジタル化の推進や全国の好事例の横展開を図るため、知事と県内のすべての市町長で構成する「石川県デジタル化推進会議」を設置した。各市町が具体的にデジタル化を進めるため、市町の担当部局の課長や職員が県庁のデジタルチームと頻繁に情報共有・意見交換ができる体制として、ワーキンググループも設置している。

こうした県の支援により、県内の市町では国の「デジタル田園都市国家構想交付金」の活用に向けた積極的な取り組みが増え、今年度の市町採択率は89%と全国トップに輝いた。また、県もこの交付金を活用した取り組みとして「石川県広域データ連携基盤」の構築を進めている。広域データ連携基盤は、官民が保有する様々なデータを収集・連携・活用できる仕組みとなっている。

さらに、この基盤において今年度中に「石川県オープンデータポータル(仮称)」も整備予定だ。これを活用した観光デジタルマーケティングとして2023年10月3日、西垣氏が「3本の矢」となる施策も発表した。第1の矢は、「観光デジタルマーケティングプラットフォーム(観光DMP)」を整備したことだ。このプラットフォームでは、人流やSNSの投稿など観光関連の様々なデータを時系列で把握することができる。

第2の矢は、石川県観光データ分析プラットフォーム「Milli(ミリー)」だ。ミリーは、県庁内に蓄積している観光関連データを可視化・オープン化し、無料で共有できるようにしていく。また、県では今年度から県内の複数の観光スポットに二次元コードを設置して、観光客の属性情報を取得する取り組みも始めている。それらのデータはオープンデータとして公開する許諾を得ており、ミリー上で公開する。さらに県職員はQUICKが提供する情報サービスの「QUICK Data Cast」を使い、リアルタイム人流データやSNSデータなど、より細かなデータを活用することもできる。

図 観光データを可視化し活用

QUICK Data Castで観光地間の相互利用率をマッピング。岐阜の白川郷を訪れた人の10%弱が、高速で1時間程度の距離にある金沢を訪れていた

第3の矢は、毎週開催していく「いしかわ観光データ会議」だ。会議には県内の観光協会や県、市町の観光担当者らが参加し、最新データを共有していくほか、観光分野でのデジタル人材育成も目指す。

2024年3月16日には、北陸新幹線の金沢―敦賀(福井県敦賀市)間が開業することから、石川県や北陸地域ではさらなる観光客の増加が期待される。「富山、福井、石川の3県が一緒に北陸の観光をアピールしていくため、今後は3県の観光データ連携を進め、オープンデータで見えるようにしていきます。これを作ることができれば、北陸三県は全国でも類を見ない観光データ連携地域になるでしょう」(西垣氏)。

 

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