ゼロからつくる日本のベンチャー投資 新しい企業を育てる職業の発見

スタートアップを金融サイドで支えるベンチャーキャピタル。リスクの高い創業期から投資を行うとともに、事業・経営を支える伴走支援をする。今号から2回にわたり、黎明期から日本のスタートアップを支え続け、エコシステムの誕生に貢献した村口氏の寄稿を掲載する。

ベンチャーキャピタリスト(VC投資家)は、日本では40年ほど前に生まれた比較的新しい職業だ。どんな職業でも最初のひとりがおり、何かのきっかけでそれを始めることになったのだろうと思う。日本のVC投資家の場合はどうだったのか、最初期からその仕事を続けている者として、起点を振り返ってみたい。

昔々、1982年のこと、正月から2カ月間、広尾の都立中央図書館に親友と篭り、本来なら大学経済学部入学直後に学んでおくべきだった経済学の教科書を、集中的に勉強する機会を得た。そしてこの「経済学との出会い」が、私の人生の方針を変えていくことになった。22歳の頃の事である。この少し前、シェイクスピア劇「テンペスト」の演出にのめり込み、留年することになってしまった。演劇を人生の目標にすることはやめて始めた経済学の勉強だった。

社会をより良く変える
自立した経済の重要性に気付く

集中的な経済学の学習で学んだことは、まず、「自分が自立して利益をいくらでも追求して良い」ということだ。むしろ利益を追求することがインセンティブとなって、生産者がいい意味で競争して社会が発展するのだという。これは1982年当時も、2023年の現在も常識としてとらえられている。ただ、日本の社会において利益の追求をはばかる風潮はあまり変わっていないようにも感じている。

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