シャッターメーカー対決! 三和HD VS. 文化シヤッター
外部の様々な脅威から建物と人を守るシャッター。気候変動に伴い、日本のみならず世界的に自然災害の激甚化が課題となる中、トップ2メーカーはどのような取組みを見せているのか。
自然災害の激甚化に製品の高機能化で備える2大シャッターメーカー
気候変動にともない、台風や豪雨など自然災害の激甚化が地球規模で進む中、暮らしや産業を守る建築物の災害対策が、これまで以上に重要となっている。これを受けて、シャッターやドア、窓など、建物の開口部関連製品を手がけてきたメーカーでは、安心・安全な暮らしの実現と企業のBCP強化支援に向けて、災害対策製品への投資を拡大しつつある。
三和ホールディングスの主力事業会社である三和シヤッター工業は、1956年、「三和シヤッター製作所」として兵庫県尼崎市で設立された。その社名は、創業者高山萬司の自宅作業場近くにあった三和大通り商店街、三和市場に由来する。シャッター需要拡大に伴って同社の軽量シャッターはまたたく間に地元商店街から全国へと普及、翌年には全国に販売店が誕生した。
その後、国内外のメーカーを傘下に収めて着実に事業を拡大、シャッターやスチールドア、ガレージドアなどの国内トップシェアを握り、日米欧アジアの4極体制のもと、海外売上高比率約6割というグローバル企業に成長した。
2022年策定の長期ビジョン・中期経営計画では、防災貢献商品の売上高を2024年度に810億円、建築物の防災性能維持に欠かせないメンテナンス/サービス売上高を760億円とする目標も設定、いずれも堅調に推移している。中期経営計画でも、防災・環境対応製品の拡充と製品・サービスのスマート化、IoT化を戦略の一つに掲げ、防火・防煙・耐火、耐震、停電対応のテーマそれぞれに高機能化を進めている。
一方、文化シヤッターは1955年、東京・浅草で「日本文化鉄扉」として創業。シャッター関連製品事業、建材関連製品事業の他、ビルや住宅のリフォーム事業も展開する。2008年にはベトナムに現地子会社を設立するなど海外進出を本格化させ、近年はオーストラリアやニュージーランドで積極的なM&Aを実施して、アジア/オセアニアでの存在感を高めつつある。2026年度には、現在の10%超の海外事業売上比率を12.6%まで引き上げる考えだ。
同社も気候変動リスクへの対応を重要課題ととらえ、2012年にはゲリラ豪雨による浸水対策として止水事業に参入している。また、2021年には「2050年BXグループ脱炭素宣言」を表明、2024年を起点とする新中期経営計画では、「エコ&防災事業」の売上高を2026年度に94億円とすることを目標に掲げる。
計画では、温室効果ガス排出削減とともに、「遮熱・断熱」をキーワードとして、室内温度上昇を抑制する遮熱シート、ゲリラ豪雨・集中豪雨に備える止水関連商品などの拡充に力を入れていく方針だ。止水機能付きシャッターなどを積極的に提案するほか、天候急変時に気象情報を受信して、住民不在でも電動シャッターを閉鎖するなどのIoT対応システムにも力を入れている。
もとより地震や台風など自然災害の多い日本だが、この先、南海トラフ地震や首都直下型地震なども予想され、台風の大型化や集中豪雨の深刻化への対策は喫緊の課題となっている。事業そのものが社会貢献ともいえるシャッターメーカーのソリューションが果たす役割、そしてそこに寄せられる期待は、今後ますます大きくなる。
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