50年の軌跡と成長戦略 30年後の未来を想像し研究開発

三菱江戸川化学と日本瓦斯化学工業の合併によって、1971年に発足した三菱ガス化学。創立50周年を迎え、今後の50年も研究開発型企業として多くの革新を生み出す方針を明確にした。環境問題や医療、食糧など様々な課題を解決し「社会と分かち合える価値の創造」を目指す。

藤井 政志 三菱ガス化学 代表取締役社長

三菱ガス化学は、2021年10月に創立50年を迎える。1918年に三菱製紙の出資で設立された三菱江戸川化学と、日本で初めて天然ガスを原料にメタノール生産を始めた日本瓦斯化学工業(1951年創立)が、1971年に対等合併し、発足したのが同社だ。

「進取の精神」で世界初、
日本初の事業にも挑戦

「当時は社長同士の話し合いで合併が決まり、これは大きな決断でした。もう1つの大きな決断は、サウジアラビアにおけるメタノールの生産開始です。日本の化学会社で初めてサウジアラビアに進出し、1979年に契約を交わしました。これは、私たちの海外展開の第一歩となりました」。

三菱ガス化学代表取締役社長の藤井政志氏は、当時の状況を振り返る。「進取の精神」でチャレンジを続けてきた三菱ガス化学では、世界初、日本初となった事業も多い。日本瓦斯化学工業では1969年に、アラスカ工場で尿素生産を開始。合併後は北米、南米、東南アジア、東アジア、中東、欧州など幅広い地域で事業を展開してきた。

「今後、特に力を入れるのは電子材料関係です。例えば半導体を作る工程で使われる化学薬品や半導体のパッケージ材料などです。現在は、5Gで使われるアンテナ・イン・パッケージ(AiP)向けにも力を入れています。私たちはまた、スマートフォンのカメラのレンズに使われる合成樹脂の多くを供給しています」。

研究テーマは「面白いもの」
個人の興味追求の余地も残す

「化学会社のイノベーションは、人類を幸せにできます。研究開発では現在、例えば、全固体電池について大学などとのオープンイノベーションに取り組んでいます」。

電気自動車用の電池として期待される全固体電池。開発競争が激化している

世界には気候変動をはじめとする環境問題のほか、医療、食糧などの分野で多くの課題があり、それらを解決するための研究開発を進めている。「投資は今後5~10年で社会にどう貢献できるかを意識して行いますが、新しい研究は30~40年後を想像しながら進めます。現在は、研究開発体制の強化をはかっており、2020年には組織を再編しました」。

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