現場確認や施策立案のエビデンスに映像を生かす DXの推進力「Safie」

セーフィーは、クラウド録画型映像プラットフォーム「Safie(セーフィー)」を開発・運営するIT企業だ。「映像データであらゆる産業の現場をDXする」という言葉のもと、様々な産業や自治体の課題解決を支援している。「事例から探る映像データのエビデンスとしての活用方法」と題した講演を紹介する。

セーフィーが手掛けているのは、クラウドカメラのオペレーティング・システム(OS)だ。セーフィーが開発したこのOSファームウェアを書き込むことで、カメラが「セーフィー化」される。セーフィーのクラウドにつながるカメラは現在、日本国内に20万台以上あり、クラウド録画サービスにおいて日本国内トップとなるシェア6割弱を誇っている

「セーフィー化されたカメラがインターネットにつながっている限り、スマートフォンやタブレットを通して、カメラがある現地の映像をリアルタイムでどこにいても見ることができるし、過去の映像も遡って見ることができます」とセーフィー営業本部副本部長の桜田忠弥氏は説明する。

桜田忠弥 セーフィー 営業本部副本部長

防犯カメラとしての利用は多いが、「それ以上に、業務課題の解決や改善に対し、セーフィーを活用した支援をさせて頂いています」と桜田氏。目指すのは、「映像データであらゆる産業の現場をDXする」ことだと話す。

「映像データであらゆる産業の現場をDXする」ことがセーフィーの目標だ

リモートでの現場確認や
技術継承にも活用

その一例が、建設業界におけるセーフィーの導入だ。2019年4月の法改正時には猶予されていた時間外労働時間の上限規制が、2024年4月にいよいよ建設業にも適用される。建設業界では、限られた人員リソースの中で、どう生産性を上げていくかが課題となっている。そんな中で2022年から国土交通省で本格的に実施され始めたのが、国交省直轄土木工事における各種確認行為をリモートで行う「遠隔臨場」だ。ウェアラブルカメラのようなICT機器を活用することで、発注者が現場に行かずに、施工者とオンラインでつながり、段階確認、材料確認および立会いを実施できるというもの。

このような使い道に対し、セーフィーは、クラウド録画型ウェアラブルカメラの「Safie Pocketシリーズ」(セーフィー ポケット シリーズ)を提供している。常時録画のほかリアルタイムでの双方向通話などが可能な「Safie Pocketシリーズ」は、これまでにゼネコン大手トップ30社の多くの企業に導入されている。

遠隔臨場の一番のメリットは、市街地から離れた場所で行われることも多い土木工事において、発注者が現場へ赴く移動時間が削減できることだ。受注者側も、発注者側の立会い確認や検査のために現場を一時的に止める必要などがなくなり、業務の効率化につながっている。「ある事業者では、発注者サイドで月間90時間、進捗確認や報告などの現場作業を約60時間削減できたという効果が出ています」と桜田氏。加えてこのウェアラブルカメラで撮られた映像はクラウド上に録画されるため、「例えば年に一度程度しかないような特別な工事作業などの映像をクリッピングし、ダウンロードして保管しておけば、その工程経験がない作業員への教育に有効です。また、同じ会社内の異なる現場同士でノウハウを共有することもできます。業務の効率化だけでなく、他現場へのノウハウの横展開や技能伝承など、利用の幅が広がっています」と述べた。

個人情報保護など、映像データ
利用に対する課題解決も支援

続いて、行政における映像データの活用法について、同社の雑賀真奈氏が解説した。セーフィーが市町村の職員を対象に実施したアンケート調査では、カメラ映像から得られるデータをEBPM(エビデンス・ベースド・ポリシー・メイキング)に活用できると考えている自治体職員は多く、取得したいデータは、人流や交通量という意見が多かった。パブリックスペースに置かれたカメラ映像に対する個人情報の取り扱いや、導入・運営コストに対し課題感があることも分かったという。

雑賀 真奈 セーフィー 営業本部第2ビジネスユニット 公共グループグループリーダー

これらの課題に対し、雑賀氏はまず、交通量調査にかかるコストについて紹介。調査が1日だけの実施であればやはり人力の方が安くなる。しかし、都市計画や道路計画に必要な調査であれば、必要なのは1日だけではなく、曜日や天候ごとに取られたデータだ。「定期的に一定の精度を担保されたデータを取るのであれば、やはり映像を必要なタイミングで解析する使い方になり、それであれば常設カメラの方がコストは抑えられます」と雑賀氏。人力で行う場合のように、人が確保できなかったり、天候によっては実施できないケースを考慮する必要もない。

個人情報保護に対する懸念に関しては、経済産業省のカメラ画像活用ガイドブックにもガイドラインが明示されており、運用者による撮影の事前告知などが必須となっていると雑賀氏。「セーフィーは金融機関や大手企業にも採用されているクラウドのプラットフォームを提供しており、安心して利用頂けます。運用ルールについても外部の有識者にアドバイスをもらいながらデータガバナンスを構築しており、カメラや映像データを始めて活用するという皆さまにも、運用ルールの段階から支援させて頂いています」という。

人流や渋滞の把握と解決
防災DXも可能にするSafie

すでにセーフィーを導入し映像データの活用に注目している自治体もある。その1つが神奈川県逗子市だ。逗子市では駅前の歩行空間が非常に狭く、バス停に並ぶ人で混雑したり、雨の日は自家用車で渋滞するなどの課題があった。そこでセーフィーがカメラ14台を2カ月間設置し、調査を実施。実際に、いつどんな時間にどれくらいの人や車が滞留するのかをデータ化した。今後の計画にあたって合理的な基礎データとしての活用を期待されている。逗子海岸では、来場者数のカウントをAI解析で行った。混雑状況をデータとして可視化し、必要に応じてSNSで配信する試みが行われている。

こういった基礎データの取得だけではなく、セーフィーは防災DXへの活用も可能だ。雑賀氏は、2019年に2度の台風で大きな被害を受けた千葉市での実証実験を紹介した。「駅前の冠水状況や避難所の状況、災害の発生場所などを、映像を使って集め、災害本部に的確な情報を送り意思決定を迅速に行うためにセーフィーを試験的に導入して頂きました」。

そのほか、茨城県の美浦村役場では、大雨で氾濫する河川にカメラを設置。職員が目視確認できない夜間などでも避難勧告を出せる仕組みが構築されている。公共施設の入退管理などにセーフィーを導入する自治体も増えていると雑賀氏はいう。「AIによる映像データ解析などの支援から、遠隔での業務効率化まで、様々なセーフィーの活用を幅広くご提案できます」と話し、講演を締めくくった。

※テクノ・システム・リサーチ社調べ「ネットワークカメラのクラウド録画サービス市場調査(2022)」より

 

お問い合わせ先


セーフィー株式会社
営業本部 第2ビジネスユニット 公共グループ
MAIL:data-survey@safie.jp
URL:https://safie.jp/publicservice/

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