時事テーマから斬る自治体経営 「議会改革」の注意点

市議会のカラ出張に端を発し、1992年頃からクローズアップされるようになった議会改革。それから30年経った現在では、議会改革が目的化している地方議会も多いという。議会改革を着実に進めていくためには、何が重要なのか。1つの有効な方法として、「議会シンクタンク」の設置がある。

本来春、統一地方選挙が控えている。そういう事情もあり、筆者に議会からの問い合わせが増加している。議会を対象とすると、論点は多々ある。今回は「議会改革」に絞って注意点に言及する。

「議会改革」は
いつから始まったか

議会改革は、いつから始まったと思われるか――。筆者は、朝日、産経、毎日、読売の4紙における「議会改革」の記事の推移を調べた(図表1)。初めて記事が登場したのは1985年である。しかし、当時の記事はスローガンとしての議会改革であったり、海外の事例紹介であったりする。具体的な取り組みが報道されたわけではなかった。

図表1 主要4紙における1年間の議会改革に関する記事の推移

出典:@niftyの新聞・雑誌記事横断検索(https://business.nifty.com/gsh/RXCN/)より筆者作成

議会改革に動きが記事になったのは、1992年である。某市議会におけるカラ出張を糾弾する内容であった。カラ出張は某市議会だけではなく、他の多くの議会でも見られた。その結果、全国的に議会改革の機運が高まった。議会改革により、個人視察の自粛やタクシーチケットが廃止となった。

1992年以降、議会改革に関する記事は増加していく。2011年が1719記事とピークとなった。当時は長と議会の対立が注目されていた。阿久根市や名古屋市、防府市等の記事が多い。しかし、2016年以降は議会改革の記事が低減しつつある。

某市議会のカラ出張から端を発した1992年を議会改革元年とすると、実に30年間も続けていることになる。普通に考えたら、30年間も改革を継続することは不可能である(よく体力が続くと感心する)。穿った見方をすると、議会改革が目的化しているのではないか。この点は注意しなくてはいけない。目的化しているために、何度も議会改革を繰り返しているとも言える。筆者は、このような状況を「議会改革ループ現象」と称している。

議会改革の視点

議会の役割を指摘しておきたい。一般的に議会は、①行政監視機能、②政策立案機能、の2機能があると言われている。議会改革により、これらの機能を強化することが大事である。そして、両機能の強化は手段である。手段の先にある議会の目的は、「住民の福祉の増進」を実現していくことである(地方自治法第1条の2)。

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