AdobeのPDFソリューション デジタル化の先の業務革新を見据えて
テレワークや在宅勤務など、ワークスタイルの変化に伴い、紙業務のデジタルトランスフォーメーションが進む。紙の利点をデジタルでも踏襲できるのが、アドビのPDFソリューション。PDF活用による自治体業務の効率化とセキュリティについて、アドビの岩松氏が解説する。
コロナ禍における在宅勤務・リモートワークの増加で、文書業務のデジタルトランスフォーメーションが加速している。政府としてもDX推進に注力しており、大企業から中小企業、行政機関に至るまで、様々なデジタル化の施策が実施されている。2021年は中小企業・小規模事業者を対象にした「IT導入補助金」が実施され、9月にはデジタル庁が発足。2022年1月からは、国税庁による「新・電子帳簿保存法」が施行された。
遅れる日本の文書DX
紙への根拠なき信頼が足かせ
一方で、アドビがグローバルで実施したアンケートでは、日本におけるテレワークの効率性や電子サインの利用が諸外国に比べ低い傾向にある。また、パンデミック収束後も電子サインを使い続けるか、電子サインは安全だと思うか、といった問いに対する肯定的な回答の割合も低い。
「日本では、押印による合意の商習慣が浸透しているため、『紙の方が信頼性が高い』と考えられている傾向があります。」とアドビ・デジタルメディア事業統括本部の岩松健史氏。こうした思い込みが、紙業務のデジタル化の足かせとなっている。
現状、印鑑をなくす、紙をなくす、テレワークに対応するといった理由でシステム化を検討する顧客は多い。ただ、「デジタルトランスフォーメーションは、単純に業務をデジタル化するというだけでなく、それによって新しい価値を生み出すことが目的とならなければなりません」と岩松氏は指摘する。これまで紙と印鑑で行っていた業務をデジタル化することで、何を実現したいのかを明確化することが重要だ。
セキュリティの高い
デジタル文書の作成を
紙の利点として挙げられるのが、どんなシステム環境でも、いつでもどこでも、何年経過しても、コピーを受け取った相手も、全く同じ書面を参照できるという点。これをデジタルでも踏襲できるのがアドビのPDFソリューションだ。
現在、世界中で使われているPDF(Portable Document Format)は、1993年にアドビが開発したファイル形式。ソフトウエア、ハードウエア、オペレーティングシステムに関係なく、文書を確実に表示および交換することができ、現在はオープンスタンダードとなり、国際標準化機構(ISO)で管理されている。
PDFの文書には、リンクやボタン、フォームフィールド、オーディオ、ビデオ、ビジネスロジックを組み込むことができる。また、電子的にサインでき、無料のAcrobat Reader DCソフトウエアを使用すれば、WindowsでもMac OSでも簡単に表示できる。
図1 Adobe Acrobat DC PDF文書保護機能
Adobe Acrobat DCの文書保護機能で、改竄防止や個人情報の墨消しほか、PDFドキュメントのセキュリティ対策を実施できる
Adobeは2015年に、手作業で行っている文書プロセスを効率的にデジタル化するためのPDFに電子サインソリューションを備えた「Adobe Document Cloud」の提供を開始した。日本では2016年から、電子サインをリューションの展開を始めた」。
外部との共有や公開を行うために最も普及したPDFには、ドキュメントに対するセキュリティ対策が必須となる。「Adobe Document Cloud」では、改ざんに対する対策(Read Only、非改ざんの証明)、再利用の制限(コピー、印刷制御)、ファイル内の個人情報の削除、非公開情報の秘匿など、様々な機能を提供している。
「大小様々な規模の企業が『Adobe Document Cloud』でスムーズかつ安全なドキュメントワークフローを実現しています。特に、外部に出す文書に関しては、『Adobe Document Cloud』の機能を活用し、セキュリティの高いドキュメントの作成を検討いただければと思います」と岩松氏は話した。
プロセス全体での効率化が重要
アドビでは、社外との文書のやりとりにおける紙と印鑑からの脱却という観点では「Adobe Sign」を提供している。「Adobe Sign」は、シンプルで安全な電子サインとAdobe Acrobatの機能を組み合わせた電子契約ツール。業務プロセスの中で真実性の高いドキュメントを扱っていく方法として提供している電子契約を行うための、電子サインソリューションだ。
行政機関における紙業務のデジタル化では、大きく3つの業務が上がる。①調達・入札等の契約業務、②住民、企業からの申請業務、③行政機関からの認可や認定だ。
①の、調達・入札等の契約業務に関しては、印鑑に代わる本人性の確保や契約書の真実性の確保など、民間企業におけるB2B契約のデジタル化と同様の方式を活用できる。②の住民、企業からの申請業務に関しては、セキュリティや集中処理の対応にクラウドシステムを活用。③行政機関からの認可や認定では、政府の認定している証明書をPDFに埋め込む形で認定書を発行する。
「ドキュメントのセキュリティ、電子での契約行為の話をしてきましたが、その作業や業務は分断して存在するわけではなく、業務プロセスの一部としてつながっているわけです」と岩松氏は説明する。
個々の作業の中で単にPDFを作成する、「Adobe Sign」を使って電子契約を実現する、というだけでは、業務革新にはまだ足りない。プロセス全体を通して自動化することで、本来のDXの目的である価値創造により近づいていく。
「ドキュメントを作成するプロセスの効率化、共同編集、レビューの効率化、さらに作成したPDFが外部で利用されたりする際のセキュリティの強化。電子署名を求めるものや、配布するドキュメントに関しては従来の業務と連携させてのデジタル化を進めるなど、プロセス全体での効率化、自動化を図っていく上で、我々のソリューションを活用していただければと思います」。
認定パートナーとの導入・利用支援
アドビでは、認定パートナーとともにシステムの導入・利用支援を進めている。ダイワボウ情報システムは、20年以上にわたり、アドビとパートナーシップを結んできた販売代理店だ。
ダイワボウ情報システムは、パソコンやIT機器をメーカーから仕入れ、販売店に販売するITの専門商社。
同社の山形伊織氏は「地域密着をモットーに、全国に93の営業拠点を展開しています。独立系のマルチベンダーの位置づけで、アドビほか国内1200社におよぶメーカーと連携し、ICT活動に欠かせない機器や情報サービスを提供しています」と話す。
2020年度は全国3068の機関へアドビの製品を販売。自治体向けの取り組みとしては、LGWAN向けの製品である「Adobe Creative Cloud」官公庁特別版を、同社独占で提案している。
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アドビ株式会社
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