第2回 脱炭素で注目上昇「ネット・ゼロ」とはなにか?

環境領域の研究・政策提言を行う地球環境戦略研究機関(IGES)のメンバーとともに脱炭素時代の事業環境を考える本連載。今回はCO2排出を差し引きゼロとする「ネット・ゼロ」実現に向け変わる私たちの社会の姿を考察する。ここからいかにビジネスを生み出すかが問われる。

栗山 昭久(公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)戦略的定量分析センター 研究員)

そもそもネット・ゼロとは?

―― ネット・ゼロとは、そもそもどういうことでしょうか?

CO2を主とした温室効果ガス(GHG)の排出量と吸収量の合計がゼロ、正味の排出量がゼロであることを示します。気温上昇による洪水や干ばつに加え、食料の生産地が変わるといった人類社会全体に及ぶ影響を止めるためには、産業革命以降の気温上昇を1.5℃以内に抑える必要があるという科学的合意が出ています。現在、気温はすでに1℃上昇しており、経済的、人的に大きな被害は出るものの、ぎりぎり対応できるラインとして「1.5℃目標」が提唱されています。今後の気温上昇を0.5℃に抑えるために、CO2を排出しない世界を実現しなければならず、先進国では2050年のネット・ゼロを目指す動きが活発化しています。

―― 従来の「80%削減」に加え、さらに20%の削減が必要ということですね。

日本では1990年度比80%を目指して、CO2排出の多くを占める産業部門とエネルギー供給側において、石炭火力の段階的な廃止や再生可能エネルギーの導入、省エネが進められてきました。

しかし、ネット・ゼロを目指すとなるとこれでは足りず、エネルギーを使う需要側もGHGを排出しない方向に変化する必要があります。例えば、テレワークによって車の移動を減らす、通販などの活用で車での買い物を減らす、日用品や衣料を多く消費するライフスタイルを変えるために、人々の意識の変化だけでなく、人々に提供される製品やサービスの変化が必要と考えられます。私たちが昨年6月に発表したレポート『ネット・ゼロという世界』でも、エネルギー供給・需要両面の取り組みが必要と提案しました。

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