再生医療の普及に挑む 新しい道を拓き続ける行動の源泉を問う
「再生医療」は拒絶反応のリスクが低い治療として期待を集めているが、様々な制約から、患者に身近なものにはなっていなかった。その課題に医療未経験で挑んだのがセルソース創業者の裙本理人氏である。医療業界の常識を塗り替え、挑戦を続ける行動の源を聞いた。
聞き手 : 古荘 由香 事業構想修士
セルソースは、医療機関から患者の脂肪組織や血液を預かり、再生医療等に用いるための加工を受託するサービスを行っている。患者本人の脂肪由来幹細胞や血液由来サイトカインを活用した治療は拒絶反応のリスクが低い治療法だが、これまでは医療機関が細胞加工センターを設ける必要があり、治療を提供するハードルは高かった。
裙本氏は、2014年の「再生医療等安全性確保法」の施行で、事業会社で細胞等の加工が可能になった事をビジネスチャンスと捉え、セントラルキッチン型の細胞等加工受託サービスを開始した。厚労省の特定細胞加工物製造許可の下、細胞等の加工を同社が受託することで医療機関は設備投資等が不要になり、技術を提供しやすくなった。また、患者は保険適用外の自由診療のため費用負担が必要だが、裙本氏は一般の人にも手の届く価格帯での技術提供を目指しこのビジネスモデルが誕生した。これにより再生医療技術と医療機関、そして治療方法と患者の距離を縮めている。また医療ベンチャーでは珍しい黒字経営を続け、3年11カ月で上場する等、快進撃を続けている。
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