2021年5月号
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地域特集 福井県

24時間遊漁券が買えるアプリで、日本の川を守り、地方を豊かに

西村 成弘(フィッシュパス 代表取締役)

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今、地域の川を長年管理してきた内水面漁業協同組合が、高齢化と担い手不足で次々と解散している。川が放置される危機にあって、「釣り」に焦点を当てたニッチビジネスでその課題解決を目指しているのが、福井発のベンチャー企業・フィッシュパスだ。そのユニークな取り組みとは?

西村 成弘(フィッシュパス 代表取締役)

日本の川が抱える課題

今から6年前の2015年、福井県内で当時5軒の飲食店を経営していた西村成弘氏は、生まれ故郷の福井県坂井市竹田地区を訪ねた。子どもの頃に祖父とよく遊んだ竹田川で、久しぶりに釣りをしようと考えたのだ。しかし、川辺に着いて言葉を失ったという。

「誰も手入れしていない周囲の山から土砂が流れ込んでいて、魚がたくさんいた昔の竹田川の姿はどこにもありませんでした。生まれ育った川がこんなに変わってしまったのかと、愕然としました」(西村氏)

この時に受けた衝撃をきっかけに、西村氏は福井県立大学大学院経済・経営学研究科に進学。修士課程で、経営的視点から「日本の川」を研究した。

「研究を進めると、竹田川で起きたことが全国各地で起きていることがわかりました。問題の原因は、地域の河川の管理を担う内水面漁業協同組合(内水面漁協)にあったのです。内水面漁協は、県の認可を得て釣り人に遊漁券を販売し、その収入を使って魚を放流したり、環境整備を行います。最も多い時は全国に約1000の内水面漁協がありましたが、高齢化と担い手不足が深刻で、近年は毎年10~20の漁協が解散し、現在は816にまで数が減少しています」

従来、内水面漁協が販売してきた遊漁券

川釣りの人口が20年前の676万人から336万人に減少したこともあり、活動を続けている816の内水面漁協も、47.9%(国の調査 出典:『ぜんない』4月第36号)が赤字。平均年齢は64歳で、何も手を打たなければ漁協の減少に歯止めが利かなくなることは明白だ。それは即ち、川が放置されることを意味する。西村氏はこの問題の解決を目指し、さらなる調査を行った。

「すると、いくつかのヒントが浮かびました。まず、遊漁券を購入せずに釣りをする人がどの程度いるのかを調べると、全国平均で約30%にのぼることがわかりました。全国の遊漁券販売額が73億円なので、単純計算でも30億円の損失です。漁協は、釣り人が遊漁券を購入しているかどうかの確認や、釣り場の安全のために監視員を定期的に巡回させているので、その人件費を含めれば損失はもっと大きくなります」

では、なぜ釣り人は遊漁券を買わないのか。調べを進めると、福井県の場合、釣り人の80%が県外から来ていることが判明した。これまで遊漁券は地元の商店や釣具店で販売されてきたが、情報発信をしていないので、県外の人はどこで購入できるかを知らなかったのだ。また、釣り人は早朝から行動することが多いが、遊漁券の販売店の営業時間は大体8時~17時で、釣り人の行動時間とも合っていなかった。

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