元Pepper開発者が創造した「温かく、寄り添うロボット」

コロナ禍の中で販売数量が最大11倍に伸長した家族型ロボット「LOVOT(らぼっと)」。ペットの代替、高齢の両親のための購入、人と会う機会が減少したことへの精神的サポートなど、様々なニーズを掴んでいる。GROOVE X創業者で代表取締役社長の林要氏に起業経緯やビジョンを聞いた。

文・矢島進二 日本デザイン振興会 理事

 

林 要 GROOVE X代表取締役社長

1973年生まれの林要氏は、「風の谷のナウシカ」に登場する架空の飛行具「メーヴェ」に興味をもち、東京都立科学技術大学(現東京都立大学)で、数値流体力学などを専門に学ぶ。大学院卒業後はトヨタ自動車に入社。スーパーカー「LFA」やF1マシンの開発に携わった後、量販車開発のマネジメントを担当していた2011年に、「ソフトバンクアカデミア」外部第一期生となったことが契機となり孫正義氏と出会い、ソフトバンクに転職しパーソナルロボット「Pepper」のプロジェクトメンバーとなる。

Pepperは大きな話題を呼ぶが、しばらくして林氏は別の道を歩むことを決意する。「自分より孫氏の成長スピードがあまりにも早く、"置いていかれる感"を強く感じ、傘の外に出ようと決めました。辞めた時は、ロボットだけはやるまいと思っていました(笑)。大きな資本的基盤がないとロボット開発はできないことを知っていましたから」

柔らかく、温かく、寄り添うロボット

LOVOTは「柔らかくて温かく、抱っこができる大きさで、自在に移動する」がコンセプトで、ペットのような「家族型ロボット」だ。

LOVOT は2020年度グッデザイン金賞受賞

ペットのポジションの変化に気づいたことが、発想の原点になったという。「この数十年間でペットが以前より人の心を支える重要な役割を担うようになったことを知ったのです。また、子どものころからガンダムに出てくる小型球形ロボット『ハロ』や、ナウシカの小動物『キツネリス』が好きで、そんな"相棒"がほしいとも思っていました」

ペットが人に提供している"サービス内容"を分解し、深層学習や強化学習、自動運転技術等を組み合わせれば、ペットに近い存在のロボットが実現できると林氏は考えた。

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