子どもの貧困、虐待... 行政に求められる「子ども」施策への視点

議会では「子どもの虐待」や「子どもの貧困」など、「子ども」に関して多岐にわたる問題が扱われるが、行政の子どもに対する取り組みは、何かが起きた後に対応を検討する「対策」が中心となっている。行政には、問題が生じる前に、先手を打って取り組むという「政策」の志向も求められる。

今回は「子ども」という言葉をキーワードに、議会質問等の推移を確認したい。近年は、「子ども」が議会で取り上げられることが多くなっている。例えば、以前本連載で紹介した「子どもの貧困」(2019年11月号)がある。その他「いじめ」や「性犯罪」、さらには「学力」など、子どもに関する問題は多岐にわたっている。

また、子どもに関連して、少子化対策や健全育成のための環境整備などもある。これらの個別施策は別の機会に論ずるとして、今回は「子ども」という幅広い観点から紹介する。

議会質問等における
「子ども」の動向

図表1は「全国47都道府県議会議事録横断検索」を活用した「子ども」に関する議会質問等の推移である。議会からの質問と執行機関の答弁が含まれている。図表1を確認すると、一貫して右肩上がりで増加してきた。しかし2010年をピークに減少している。

図表1 都道府県議会における「子ども」の質問等の推移

出典:全国47都道府県議会議事録横断検索

 

「子ども」に関する質問内容は、バラエティに富んでいる。例えば、1980年代には、子どもの読書時間の確保や離婚への対応、不妊治療への取組みなどの質問がある。議員個人の関心により、子どもに関する質問内容も決まってくるようだ。

1986年2月の新潟県議会においては「人口が減少に転じ、出生数が死亡数を下回り、人口減少が現実になるため対応はどうするのか」という趣旨の質問がある。1980年代には、既に少子化(人口減少)を危惧する質問が、いくつかの議会で確認できる。これらの質問は先見の明と言えるだろう。一部の議会(議員)は少子化を憂慮していたのにも関わらず、地方創生が始まるまで、抜本的な対策はとられなかった(地方創生も暗中模索の状況と言える)。

確かに、議員個人により子どもに関する質問は多岐にわたる。その中でもおおよその傾向は掴める。2000年代半ばまでは、一貫して「子ども犯罪被害」の質問が増えている。2000年前後からは「子どもの権利」が増加している。現在でも、子どもの権利の質問は一定数見られる。

2010年代は「いじめ防止」の質問が増加する。そして近年は「子どもの虐待」や「子どもの貧困」が見られつつある。基本的には、社会的トピックスや、国の動向(法律制定)などに影響を受けて、議会(議員)で取り上げられるという特徴がある。

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