不確実性が増していく時代において、行政にとっても人材育成は極めて重要となる。しかし、議会質問等を見ると、職員の人材育成に対する関心は自治体間で差があり、自発的ではなく、国からの押し付けで「人材育成基本方針」を策定したにすぎない自治体があることも推察される。
地方分権や地方創生の果実を得るためには、職員の政策力は重要である(もちろん議員の政策力も必須である)。そこで前回は「政策立案」に関して議会での質疑応答を紹介した。趨勢的には右肩上がりで拡大してきた。
職員の政策力を高めるために、自治体は「人材育成基本方針」を用意している。今回は人材育成方針に注目して、議会でのやりとりを紹介する。
議会質問等における
「人材育成方針」の動向
図表1は「全国47都道府県議会議事録横断検索」を活用した「人材育成方針」に関する議会質問等の推移である。議会からの質問と執行機関の答弁が含まれている。
図表1 都道府県議会における「人材育成方針」の質問等の推移

出典:全国47都道府県議会議事録横断検索
過去、本連載が取り上げたトピックスは、右肩上がりで拡大する様子が多かった。しかし図表1は起伏が激しい状態が見て取れる。この理由は明快であり、人材育成方針を策定すると、議会からの質問が増える。そして忘れられる。その後改訂されると、また議会からの質問が増える、という繰り返しだからである。
図表2は各都道府県議会における「人材育成基本方針」の質問等の回数である。見て分かる通り、かなり二極化している。職員の人材育成に関心が強い団体と、そうでない団体に分けられる。ただし今回は「人材育成基本方針」というキーワードで抽出している。職員研修等の別のキーワードで検索をかけると別の結果となる。以下では、簡単に政策立案に関する議会質問等を紹介する。
図表2 都道府県議会における「人材育成方針」の質問等回数

出典:全国47都道府県議会議事録横断検索
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