2020年6月号
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持続可能な地域を支えるエコシステム

地域の省エネ・エネルギーシフトを支援する人材

歌川 学(産業技術総合研究所 持続可能システム評価研究グループ)

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温暖化対策を地域で進めるポイントのひとつは、さまざまな専門的知見を地域で活かし、地域主体が参加することである。ドイツ・オーストリアなどでは、知見を地域で共有、協力して対策を進めていくしくみがある。

住民へのエネルギーアドバイス

「エネルギーアドバイス」は、公的中立の専門家が、建物機器等を診断し、技術、省エネ効果、費用対効果などをアドバイスするしくみである。筆者が聞きに行ったドイツ、オーストリアの多くの州・地域にこの制度があり、住民は断熱改修時等に地域の専門家からアドバイスを無料または安価で受ける。

住民や中小企業は対策技術の専門家ではないので、対策が「手探り」にならないよう、公的中立な情報提供をする。利害関係者では都合のよい情報だけ出していると思われ、信用されない。

ドイツ西部のラインラント=プファルツ州エネルギー相談所のカスカ氏に話を聞いた。同州は人口約400万人で約2000の自治体がある。

相談員のカスカ氏は州の消費者センターに所属、住民が住宅断熱改修、暖房機器更新を行う際などに州内自治体を巡回し、エネルギーアドバイスをする。住宅の断熱改修は投資回収年が比較的長く、国や州から補助金が出る。補助を効果的に行うため、いくつかの自治体では事前にエネルギー相談員への相談を義務づけている。

カスカ氏は機械工学修士卒のエンジニアで、他に建築士資格をもつ相談員もいる。エネルギー相談員になるには資格が必要で、研修も必要、加えてこの州では職業経験も求められる。また相談員は個人の家に入るためソフトスキル、相談者のプライベートへの配慮も必要と話す。

エネルギー相談では、基本データでエネルギー消費量総量と面積あたり消費量を評価する。機器は、給湯は電気か燃料か、冷蔵庫は新しいかなど、項目が多いため選択する。建物は窓、壁、地下室などを点検する。住宅断熱改修の簡単な相談で相談料は226ユーロ(約2.8万円。この州の場合)。196ユーロは州が負担、住民は残り30ユーロで相談ができる。

「エネルギーアドバイス」はドイツ・オーストリアの多くの地域で行われ、相談員はエネルギー研究所やエネルギーエージェンシー職員、地域の建築士、機械技術の専門家などである。カスカ氏によるとドイツ全体で相談員は2万人。暖房機交換が年60~70万件あり、相談員数は決して十分ではない。相談員は日々進歩する技術動向にも詳しくないとならないため、研修を受ける他、自ら質を高める相談員ネットワーク組織も別途存在する。

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