2020年4月号
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大企業×ベンチャー

スマートアパレルのXenoma 事業拡大へ、連携による用途開拓を加速

網盛 一郎(Xenoma 代表取締役CEO)

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普通の服のような着心地で、家庭で洗濯が可能なスマートアパレルe-skinを開発したXenoma。汎用性が高く、広い用途が期待できる製品のため、多くの企業と連携を進めている。スマートアパレルメーカーとして自社のコア技術に集中し、連携先と役割分担して事業を育てる。

網盛 一郎 Xenoma 代表取締役CEO

衣服や服飾雑貨と同じように身に着けられる小さな機械、ウェアラブルデバイスは昔から構想されてきた。Xenoma(東京都大田区)は、普通の服と同じような着心地で、洗濯もできるスマートアパレル(IoT衣服)e-skinを開発した東京大学発のスタートアップ企業。広い応用が期待できる製品を核に、他社と連携して多くの分野に展開しようとしている。

汎用性が高い技術に
必要な「集中」

e-skinは、センサーやデバイスを衣服に搭載し、人体の動きや生体情報を取得できる。さらに、電池や通信機能などを集めた「ハブ」をつけることで機能する構造になっている。ハブを外し洗濯ネットに入れれば、家庭用の洗濯機で洗濯できる。搭載するセンサーの数や種類、位置は、利用目的に合わせて変わる。

Xenomaの創業のきっかけは、科学技術振興機構(JST)のグラントで東京大学教授の染谷隆夫氏が開始した「染谷生体調和エレクトロニクスプロジェクト」だ。染谷氏は有機エレクトロニクスの研究者。柔軟で薄く、様々な形の面に密着する耐久性の高い電子回路を開発している。Xenoma社長の網盛一郎氏は、プロジェクト成果の事業化を進めるためチームに2014年より加わっていた。

「様々な応用が考えられる技術でしたが、半年ほど考えて『服にしよう』と決めました。当時すでに販売されていたいくつかのウェアラブル端末は、身に着けるのも充電するのも面倒だと感じていました。1枚の服を着るだけで全身のデータが取れれば楽だろうと思ったのです」と網盛氏は振り返る。

2016年には、JSTが研究成果の事業化のために設けたプログラムを使い、e-skinの製品化に着手した。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の研究開発型ベンチャー助成も受け、最初の製品「e-skin DK」の法人向けの発売にこぎつけたのは2017年2月だ。同年8月には米国のクラウドファンディングサイトであるKickstarterを通じての販売も実施した。

この当時想定していたe-skinの用途は、ゲーム用の操作デバイスやアスリート向けの動作解析装置だ。ゲームのコントローラーとしては高価な製品であるため、この用途でのユーザーは限られたが、動作や運動のデータを自然な形で取得したいという企業のニーズは大きかった。結果として、スポーツアパレルや介護関連をはじめ、様々な企業と多数の共同開発に取り組むことになった。

Xenomaと事業会社との連携においては、「自分たちでやることとやらないことは明確に分けています」と網盛氏はいう。具体的には、パートナーの目的に合わせてXenomaがe-skinを企画開発し、その販売・事業化や宣伝などは連携先が担当する。

例えば、2019年11月に発表したアシックスとの連携事例。野球の投球フォームを評価するための「投球動作解析e-skinシャツ」を両社で共同開発した。選手にしか分からない感覚の世界を測定するために、アシックスが蓄積してきた身体の形や動きに関する知見や、動作時の皮膚のひずみに関するデータなどを活用。e-skin DKをベースに、野球のボールを投げる動作の解析に特化したウエアを作った。この製品では、見た目や映像では判別が難しい投球動作の細かな特徴をやクセなども把握できる。アシックスでは、自社で展開する野球に関する能力測定プログラム「ASICS BASEBALL Lab.」で、この製品を使っていく予定だ。

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