米・酒・雪のイメージを超える 独自性あるストーリーを

「米・酒・雪」のイメージが定着する新潟県。しかし今、そのイメージからの脱却が求められている。多様で個性豊かな地域資源群が広大な県土に散在する同県だが、それらを有機的に結び付け相互に関連付けて「独自性のあるストーリー」を構築できるかが注目される。

自県のイメージをどう形成すべきか?――難しい問題である。香川県の「うどん県」、大分県の「おんせん県」などはとても具体的でわかりやすく、イメージ浸透という点で効果的だが、一方ではイメージの固定化を生じ、「他には何もない」かのような誤解を県内外に与えかねない。

新潟県の場合は、「米・酒・雪」というイメージが長期にわたり全国に浸透している。南魚沼産コシヒカリ、久保田・〆張鶴・八海山など知名度の高い清酒群、ガーラ湯沢・苗場・妙高などの人気スキー場群が、そのイメージを裏付けてくれる。

しかし今、同県はそこからの「脱却」を求められている。「米」は今や全国各地に銘柄米が登場してそれぞれに人気を博し、「酒」は若い世代の酒離れが深刻化。「雪」もスキー&スノボの国内人気長期低迷に加え、インバウンドでも、パウダースノーと広大なゲレンデを堪能できる北海道の「ニセコ」や長野県の「白馬」などに客を奪われがちだからである。

端的にいって、「米・酒・雪」はもはや絶対的な「強み」ではないばかりか、県のイメージの固定化・矮小化につながりかねない状況なのである。

では、これら以外で、新潟県の特性はどこにあり何が今後「強み」となり得るのだろうか?

錦鯉オーナー制度と
休廃業率の高さに要注目

同県の独自性が高い地域資源に「錦鯉」養殖業がある。長岡市や小千谷市を中心に、全国500業者中300が集結し、国内はもとより世界50カ国に顧客を有し輸出シェアは全国1位を誇る。このビジネスで特に注目されるのは「錦鯉オーナー制度」だ。生産者は購入者から飼育委託を受け新潟で育て、全国的な「品評会」などに出品し、あるいはそこで受賞することを通じて、海外オーナーを喜ばせている。

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