2019年9月号
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地方創生、第2幕へ

農業による地方創生の成功要因 活性化は人づくりから

田中 進(サラダボウル 代表取締役)

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15年前、外資系生保の営業職から転職し、農業法人を起業したサラダボウルの田中進氏。合理的な視点で栽培や農業経営を実践するとともに、IT企業など異業種とも連携する。他の産業のノウハウも取り入れ、夢をもって働ける産業へと農業を発展させている。

田中 進(サラダボウル 代表取締役)

多くの地域で主要産業である農業。その振興は地方創生の成否を左右すると言ってもよい。一方で、農業従事者の減少が指摘され、将来の食料自給のリスク要因ともなっている。どうすれば農業に人を集めることができるのか。

この問題に取り組み、成果を出しつつあるのが、農業法人サラダボウル(山梨県中央市)だ。いかにも美味しそうで瑞々しいこの社名には、野菜それぞれの持ち味を活かしつつ調和し合う、サラダボウルという器の中で、人々が互いの良さを引き出していく意味合いが込められている。創業者の田中進社長は山梨県の農家の次男だが、家業への思いは複雑だったという。大学からは都会に出、都市銀行と外資系保険会社で計10年間勤務したが、最終的には農業の可能性に惹かれ、2004年4月にサラダボウルを起業することになった。

「農業の新しいカタチを創り、農業で幸せに生きていく」。これを原点に、サラダボウルはおいしい野菜づくりに取り組む。栽培する作物は、トマトを筆頭に、ほうれん草、小松菜、きゅうり、なす、レタス、キャベツなど30品目にのぼる。さらに、農作業の体験研修から、長期の独立・就農研修まで、農業に関連した様々な人材育成の機会を提供している。

サラダボウルグループの主力作物はトマト。合計栽培面積約14haは単独農業法人としては日本最大級だ

「農業にはすごくリアリティがあると、いつも実感しています。小さい事業でも、人や、地域、企業などをつなぎ合わせるハブになれる。農業には、そうした価値がある」と、田中氏は農業への強い思いを語った。

社員研修や研修生の受け入れ、各種の講習を通じて、プロの農家を育成している

農業も地方創生も鍵は「ひと」

農業を産業として、地域に価値あるものにしたい。いかにして地域でワクワク働き、家族を幸せにできるか。そして、今より少しでも良い状況にして地域を次世代に引き継ぐか。そのために田中氏が最重要と考える点は、「他産業と同じく、すべてに通じるマネジメントを学び、実践すること」だ。

「激動の時代を乗り切るには、農業者は経営者の役割も求められる。一般的に、農業者は仕事の9割以上が農作業者として時間を使ってしまう。私たち農業者自身が学んで変わっていくことがとても重要なのだと考えています」と、田中氏は話す。結局、「ひと」の成長以上の現場の成長は望めないのだ。

そこで田中氏は、農作業者ではなく農業経営者に育つための学びの教育システムを構築した。カイゼン活動により栽培品目ごとに作業を整理・改善を繰り返し、無駄な作業を減らし生産効率を上げた。また、計画的に生産するための生産管理や従業員間での情報共有を徹底し、作物の品質向上、販売ルートの確保など、生産と販売を直結するシステムを構築。農業経営の土台を築いてきた。

「農業の世界でも、職業としての喜びを感じ、仕事としての深みと達成感を感じることができます。プロとして農業を仕事にするならば、それなりのアプローチとカリキュラムは必要かもしれません。農業を続けるためには、金銭面や栽培技術だけではなく、地域のなかでの人間関係が重要であることも、学ぶ必要があります」。

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